新感覚のアート体験!茅ヶ崎市美術館で企画展「美術館まで(から)つづく道」を開催!

7月14日(日)から9月1日(日)まで、近年注目を集める“インクルーシブデザイン”(※1)の手法を用いた企画展「美術館まで(から)つづく道」が茅ヶ崎市美術館で開催されます。本展を通して、障害者やマイノリティをめぐる「助ける側」「助けられる側」という二者の関係性に揺さぶりをかけるとともに、障害の有無を超え、誰もが一人一人異なる感覚を持ちながら生きる「感覚特性者」であるという観点から、違いを認め合い、ともに歩むことを楽しみその価値を捉え直す機会となることを目指しています。

※1「インクルーシブデザイン」…高齢者、障害者、外国人など、多様な人々を新しい物事を創り出すプロセスの最初から巻き込むことで、従来の思い込みを打ち破り、新たな発想力を引き出す手段として近年注目されているデザイン手法。

“インクルーシブデザイン”の手法を活用したフィールドワークを表現へ

茅ヶ崎市美術館のまわりは、昔からの細い道が入り組んでいるため、「道に迷いやすい」と言われることがあります。しかし、同館も参加するMULPA(マルパ※2)というプロジェクトにおいて、ある弱視の方が、この複雑な美術館までの道のりを“むしろ迷路のように楽しんだ”と言ったのです。このことをきっかけに、同館では次の試みをスタートさせました。同館周辺のエリアが抱える、道が複雑で分かりにくいという要素を、異なる認識、価値観から捉えることができないだろうか? そのヒントを探るべく、障害者やマイノリティと位置づけられることの多い人たちと取り組むインクルーシブデザインの手法を用いたフィールドワークを1年半かけて行いました。本展では、フィールドワークに参加した表現者が、実際に茅ヶ崎を歩いた体験をもとに創作し、視覚、聴覚、触覚、嗅覚などあらゆる感覚を用いて鑑賞する新たな作品を展開します。また、同館所蔵品の中から萬鐵五郎、小山敬三らによる茅ヶ崎を描いた作品も展示し、異なる時代を生きた表現者のイメージが交錯する場とします。

※2「MULPA(マルパ)」…(公財)かながわ国際交流財団の呼びかけにより、2016年より立ち上がったプラットフォーム型のアートプロジェクト。多様な人々・団体とつながりながら、定住外国人や障害のある方々の美術館へのアクセシビリティーを高めることが意識されている。http://www.kifjp.org/mulpa/

美術館・地域・人がつながる4組のアーティストによる新作を展開!

茅ヶ崎市美術館を拠点に2018年から1年半にわたり行ってきた、インクルーシブデザインの手法を用いたフィールドワークをもとに、4組の若手アーティストが作品を制作。各アーティストからのコメントを紹介します。

■fieldwork 01 》 聴覚特性者と歩く道
聴覚障害がある方と茅ヶ崎の道を歩き、ランチのお店を探しました。
【金箱淳一+原田智弘《音鈴》】
聴覚に特性のある西岡さんと一緒に過ごして体験を語り合う内に、ふわっと頭の中に生まれたアイデアが作品に結びついています。対話では感覚の言語化や、互いの感覚を掘り下げていくやり取りが非常に新鮮でした。「感覚の調和が生まれる、居心地の良い空間を作りたい」という考えに基づく本作品は、風に恵まれた茅ヶ崎の原風景について、音と触覚による記憶の記録を試みています。触れることのできる音の存在感に耳を澄まし、体を澄まして見て下さい。
こんな作品!<短冊型の作品を揺らすと様々な音が響く!>

■fieldwork 02 》 小さな子と歩く道
小さな子どもと、ベビーカーユーザーのお母さんと、茅ヶ崎の道を歩きました。
【原良介 《土手の上で》】
日頃共に過ごす娘が、階段、坂道などの縦軸の空間に無条件に反応するということをフィールドワークで客観的に観ることで知りました。あの日、娘は鳥の柄の入った服を着ていました。鳥の服を着て鳥のような動きをする娘をみて、「自由な空間での負荷が好き」というフィールドワークで出てきたキーワードはとても腑に落ちました。そこで、テーマを鳥にしました。人と自然との距離を制作主題としている自分にとって、この上ないテーマとなった作品です。
こんな作品!<小さな子と鳥をテーマに、複数の時間を一つのキャンバスに描いた絵画作品!>

  • 《音鈴》 金箱淳一+原田智弘

  • 《土手の上で》 原良介

■fieldwork 03 》 盲導犬ユーザーと歩く道
視覚障害がある方と盲導犬と、美術館から海までの道を歩きました。
【稲場香織 《道の香りパレット》】
茅ヶ崎は海が近く、いつも風が強く吹いているような土地であり、まさにその風の流れと街を漂う様々なにおいの流れがリンクしているようでした。風の動きで次々と変化していくにおい、交差点でのにおいの交差、また美術館を取り囲む松林では風の影響が少なく、松林の下だけが独特の空気、においを放っており、全てがクリアな世界でした。そういったにおいの変化をパレットに落とし込みたいと思いました。
こんな作品!<6つの香りがケースに入った探検用貸し出しキット!>

【MATHRAX〔久世祥三+坂本茉里子〕 《うつしおみ》(香料開発:稲場香織)】
誰かと歩く時に生まれるリズム感やその時の空気感をインスピレーションに、私たちは「ひとつづきの道」を作ろうと試みました。それは自らの指によってめぐる「触感の道」です。体験者の知覚は、指で歩くサイズになった「わたし」と、時にその指を別の存在として見守ったり内観する「わたし」の間を行き来します。自分でもあり自分でないものの感覚を想像することによって、音、光、香りのイメージは常に新しく姿を変えていきます。
こんな作品!<指を使って作品に触れながら歩くと、音や光や香りが次々と現れる!>

  • 《道の香りパレット》 稲場香織

  • 《うつしおみ》 MATHRAX〔久世祥三+坂本茉里子〕(香料開発:稲場香織)

■fieldwork 04 》 車椅子ユーザーと歩く道
電動車椅子ユーザーの方と、美術館から海までの道を歩きました。
【アーサー・ファン 《茅ヶ崎散歩記憶と記憶細胞》】
本作は三部構成です。第一部は、ガラスケース内に茅ヶ崎の3Dマップを作ります。アクリルディスクと150以上の球体に、茅ヶ崎の散歩記憶が描かれています。第二部は、茅ヶ崎コミュニティ記憶地図です。様々な素材を使い、来館者が自分の散歩の記憶を残していく参加型のプロジェクトです。第三部は、アーティスト平尾菜美氏とのコラボレーションです。私のフィールドワークやその方法論を観察してきた平尾氏自身の観察記録を展示します。
こんな作品!<茅ヶ崎の散歩記憶を記録し、膨大なリサーチをもとにした壮大なインスタレーション!>

  • 《茅ヶ崎散歩記憶細胞》 アーサー・ファン(制作協力:平尾菜美)

[フィールドワークについて]
茅ヶ崎市美術館が立地するエリアは細い道が入り組み、迷いやすいことで知られています。ある弱視の男性が2017年の夏に開催したMULPAのフォーラムで、同館までの分かりにくいといわれる道程を“迷路のように楽しんだ”という発言をしたことをきっかけに、これまでハード面で語られることの多かったアクセス問題に新たな切り口から取り組む“インクルーシブデザインの手法を活用したフィールドワーク”をスタートさせました。
※フィールドワークの様子は同館HPのブログで紹介されています

関連イベント

今回の展示にあわせ、各種関連イベントも開催されます(共催:(公財)かながわ国際交流財団)。

◆「アーティストトーク」
アーティストが自身の作品について解説します。
※手話通訳を必要とされる方は2週間前を目安にご連絡ください
日時:
2019年7月28日(日)13:00~14:00 アーサー・ファン
2019年8月11日(日)10:30〜11:30 金箱淳一+原田智弘
2019年8月24日(土)14:00〜15:00 原良介
2019年8月25日(日)10:30〜11:30 稲場香織+MATHRAX〔久世祥三+坂本茉里子〕
会場:展示室
料金:無料(要観覧券/事前申込不要)

◆フィールドツアー「作品の道を歩く」【申込制】
作品の原点となったフィールドワークの道をアーティストとともに歩きます。
日時:2019年7月28日(日) 14:30~16:00
講師:アーサー・ファン
会場:アトリエ及び屋外
定員:10名(申込制/先着順)
料金:無料

◆美術と手話「手話で楽しむ鑑賞ツアー」【申込制】
聞こえる人、聞こえない人、聞こえにくい人、みんなで楽しむ作品鑑賞ツアー。
日時:2019年8月4日(日)15:00~17:00
講師:美術と手話プロジェクト
会場:展示室
対象:小学生以上(小学生3年生以下は保護者同伴)
定員:10名(申込制/先着順)
料金:無料(要観覧券)

◆シンポジウム「フィールドワークからの作品制作」
アーティストと作品制作協力者が一堂に会し、今回のプロジェクトについて語ります(手話通訳付き)。
日時:2019年8月10日(土)14:00~16:00
会場:エントランスホール
席数:約30席(事前申込不要)
料金:無料

◆ワークショップ「みちの音を摘み取る」【申込制】
茅ヶ崎の道を歩きながら、作品を使って音を集めるツアーを行ったあと、それぞれの音を実際の会場に展示します。
日時:2019年8月11日(日) 14:00~16:00
講師:金箱淳一+原田智弘
会場:アトリエ及び屋外
対象:小学生以上(小学生3年生以下は保護者同伴)
定員:10名(申込制/先着順)
料金:無料

◆電子工作ワークショップ「キツネも歩けば光る・奏でる」【申込制】
電子部品をはんだ付けしてキツネの電子基板アクセサリーを組み立てます。
日時:2019年8月25日(日) 15:00~17:00
講師:MATHRAX〔久世祥三+坂本茉里子〕
会場:アトリエ
対象:小学生以上(小学生3年生以下は保護者同伴)
定員:10名(申込制/先着順)
料金:1,000円

◆ キュレータートーク
担当学芸員が展覧会について解説します。
※視覚に障害のある方もご相談ください
日時:2019年①7月31日(水)11:00〜12:00 ②8月31日(日)14:00〜15:00
担当:藤川悠(茅ヶ崎市美術館学芸員)
会場:展示室
料金:無料(要観覧券/事前申込不要)

※申込制のイベントは、7月14日(日)10:00より美術館受付またはお電話にてお申し込みください(開館時間内)

  • 《水浴》 萬鐵五郎 1921年 紙本墨画

美術館まで(から)つづく道

神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-4-45

[会期]
2019年7月14日(日)〜9月1日(日)

[開館時間]
10時〜18時(入館は17時30分まで)

[休館日]
月曜日、7月16日(火)、8月13日(火)
※ただし7月15日(月・祝)、8月12日(月・祝)は開館

[会場]
茅ヶ崎市美術館 展示室1・2・3

[観覧料]
一般:600(500)円、大学生:500(400)円
※()内は20名以上の団体料金
※小学生以下、中学生、高校生、障害者およびその介護者、市内在住の65歳以上の方は無料

[ウェブサイト]
http://www.chigasaki-museum.jp/exhi/2019-0714-0901/

[主催]
公益財団法人茅ヶ崎市文化・スポーツ振興財団

[協賛]
ホルベイン画材株式会社

[協力]
公益財団法人かながわ国際交流財団、株式会社インクルーシブデザイン・ソリューションズ
株式会社資生堂、高砂香料工業株式会社、神戸芸術工科大学デジタルクリエイションラボ、株式会社ボンド、CHIGASAKI BASE
MULPA:Museum UnLearning Program for All/みんなで“まなびほぐす”美術館―社会を包む教育普及事業―

[助成]
公益財団法人 花王 芸術・科学財団

[お問い合わせ]
茅ヶ崎市美術館
TEL:0467-88-1177
※お車でお越しの方へ:目的地を「茅ヶ崎市美術館駐車場」で検索してください

ライター情報

SHONAN garden 編集部

SHONAN garden 編集部

海、山に囲まれた日本有数のリゾート・湘南。この地で送るスローライフをより深く、より身近に。地元ならではの目線からあらゆるスポット・イベントなどの情報をみなさまへとお届けいたします。

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