もう 待ったなし!「海を守る。砂浜のマイクロプラスチック回収実験プロジェクト」茅ヶ崎海岸で実施

地球規模の深刻な環境問題になっている海洋プラスチック汚染。そんな海洋プラスチック汚染から海を守ろうという「海を守る。砂浜のマイクロプラスチック回収実験プロジェクト」が2021年4月25日、茅ヶ崎海岸で行われました。

マイクロプラスチックによる海洋汚染問題や回収実験プロジェクトの取り組みを知るため、実際に参加しお話をうかがってきました。

海の生態系に多大な影響を及ぼすプラスチックごみ

美しい海が消える。これは、遠い未来の話ではなく、私たちの子どもや孫の世代に起きうる問題です。環境省の資料によると毎年少なくとも800万トン(ジャンボジェット機5万機相当)ものプラスチックが海に流れ出ているそうです。「海のプラスチックの量は、2050年には魚を重量ベースでは上回る」という予測もあります。

1991年に、イタリアの海岸に打ち上げられたクジラの胃から50枚ものレジ袋が見つかったというニュースが世界を駆け巡りました。これを機に、それまで無料配布されていたレジ袋を有料化する動きがヨーロッパで高まったのです。2018年6月に発表されたUNEP(国連環境計画)の報告書によれば、世界の127カ国がレジ袋の法規制を実施し、83カ国は無料配布を禁止しています。

魚や鳥、クジラなど多くの海の生き物が、海に漂うごみに絡まったり、これをエサと間違えて食べてしまったりすることで、傷ついたり死んでしまったりしています。プラスチックごみは自然界で分解されるまでには、100〜200年以上と途方もない時間がかかるそうです。海の生物に対しての影響と同時に世界13カ国の飲料水やアジア産食塩などからもマイクロプラスチックが検出され、人体への影響も懸念されています。

日々遊んでいる砂浜に多くのプラスチックごみがあることに驚く姿も

しかし、その状況を自分ごととして捉えられている人は多くないのではないでしょうか。そこで、砂に混ざっているマイクロプラスチックを実際に回収することで現状を知ってもらい、そこから理想的な海岸環境を考えて創りあげることにつなげようと「砂浜のマイクロプラスチック回収実験プロジェクト」が実施されることとなったのです。

同プロジェクトには、家族連れなどたくさんの地元ボランティアが集まりました。砂浜のマイクロプラスチックを回収するため、海水を入れたバケツに砂を入れ、浮いてくるプラスチック片を網ですくい取る作業を行います。

日頃、子どもたちと遊んでいるビーチの砂に混じるプラスチック片を見て、驚く参加者も多くいました。

また、プロジェクト関係者とそのサーフィン仲間たちにより、ブルドーザーなどの重機を用いて干潮時に波打ち際に砂を押し出し、満潮時を見計らって砂を海水に混ぜ、浮いてくるマイクロプラスチックを網で採集する作業も行われていました。

海は自分たちの居場所。できることを考え取り組む

この「海を守る。砂浜のマイクロプラスチック回収実験プロジェクト」の舵取り役を務めるのが、地元・茅ヶ崎でサーフショップ「beach park」を40年以上経営している伏見康博さんです。伏見さんは、海岸環境を守る活動を行うボランティア団体「ほのぼのビーチ茅ヶ崎」の海岸環境部会長でもあります。

伏見さんは、プラスチックごみが海に及ぼす影響に危機感を募らせ、日々関わってきた海への感謝と、子どもたちの将来のために「海を守る。砂浜のマイクロプラスチック回収実験プロジェクト」を地元の仲間たちと一緒に企画したそうです。

「さまざまな人とのつながりができた海は自分にとっての居場所でもあります。その海に対して、自分たちができることを考え、率先して汗をかく。もう待ったなしですからね」と伏見さんは話します。

理想的な海浜を皆で考え、皆で創りあげる

伏見さんが海岸環境部会長を務める「ほのぼのビーチ茅ヶ崎」は「理想的な海浜を皆で考え、皆で創りあげよう」が合言葉。今回のプロジェクトのほかにもビーチクリーン活動や養浜活動の啓発など、さまざまな“海への恩返し”をしています。

同プロジェクトはじめこうした活動は、多くの方が海洋汚染の問題に目を向け、それを自分ごととして捉え、課題解決に向けた取り組みを行うきっかけになっていくはずです。未来の美しい海のためにできることは何か、改めて考える1日となりました。

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