そっと背中を押してくれる優しい文具店。鎌倉・文具と雑貨の店「コトリ」

鎌倉駅から10分ほど歩いたところに、絵本に出てきそうなかわいらしい店構えのお店があります。鎌倉・文具と雑貨の店「コトリ」です。店内には思わず笑みがこぼれてしまうようなほっこりとする文具や雑貨が並んでいます。ちょっぴりレトロで遊び心をくすぐるオリジナル商品も顔をのぞかせます。

文具・雑貨との出会いを楽しみに、ご近所さんはもちろん、遠方からもたくさんの方々が訪ねてくるという「コトリ」。デジタル化が進み、街の文具屋さんが少なくなる中にあって、なぜ多くの人々を惹きつけているのでしょうか。
 
店長の中村紋子さんにお店に込めた想いや文具・雑貨へ想いをうかがうことでその理由が見えてきました。
  • 笑顔で迎えてくれる店長の中村紋子さん

お手紙カフェからつながった文具店

現在のお店を始める前、中村さんは北鎌倉でお茶とともに手紙を書く時間を楽しめる“お手紙カフェ”を週末限定でオープンしていたといいます。

「私自身、手紙を書くことが好きだったんです。その人を想いながら手紙を書く時間、返事を待つ時間、手紙に書かれた文字から伝わってくる想い…、とても贅沢な時間だなって。そんな時間を過ごせる場所を作りたいと思ったのが、お手紙カフェをはじめたきっかけです」と中村さん。

多くのお客さんが訪れていたというお手紙カフェですが、物件の契約条件などの関係で続けることができなくなってしまったそう。この先どうしようかと悩んでいた時、お手紙カフェに集っていたお客さんが新たな目標を抱かせてくれたのだとか。

「手紙を書く人は文具が好きな人も多くて、よくお気に入りの文具の話で盛り上がっていました。ただ鎌倉にはそんな文具好きが満足できる文具店があまりなかったんです。“だったら、心が躍るような文具店を自分たちでつくってみようか”という話になり、常連さんだった文具好きのメンバーと一緒に文具店をはじめることになったんです」

こうして形になったのが、鎌倉・文具と雑貨の店「コトリ」だったのです。ちなみにメンバーの方々はそれぞれに仕事を持ちながらお店づくりに参加、それは開店から10年経った今も変わらないそう。

  • 木製の看板や小鳥が描かれたポストやガラス戸など、とってもかわいらしい店舗

それぞれの“好き”が集まって1つの形に

文具・雑貨への愛情から誕生した「コトリ」。関わる方々の想いにあふれる店内ですが、それは決して押し付けがましいものではなく、優しく話しかけてくれるような心地良さで私たちを迎えてくれます。

「みんな本当に文具が好きで店舗づくりへの熱い想いも持っています。ただ、それぞれの想いを“それもいいね”と受け止めることができるメンバーなんです。それがお店にも表れているのかな(笑)」と中村さん。

また、メンバーそれぞれが別の仕事を持っていることもお店の力になっているといいます。カメラマンや絵本作家など、多様な職業の方がそれぞれの強みを活かし、そして全員が楽しみながら進めているのだそう。

  • 文具が好きという気持ちがあふれている店舗

  • ばら売りの鉛筆など、1つ1つ選ぶ楽しみがある

文具に込めた“応援したい”という想い

「お店として大事にしていることがあって、それは“応援したい”という想いなんです。身近にある文具ですから、ふとした時にその人を勇気づけるものであれたら嬉しいなって。そんな想いから、くすっと笑える商品をそろえています」と中村さん。

それはオリジナル商品にも色濃く表れています。例えば、鉛筆には肩の力を程よく抜いてくれるコメントが刻まれていたり、ミニレターセットは何気ないことでも気軽に手紙を出したくなるようユーモアたっぷりにデザインされていたり、どの文具・雑貨にも使う人、そして受け取る人の元気につながる工夫が散りばめられているのです。

  • 文具好きならではのアイデアが詰まったオリジナル商品も豊富

  • 相手を思わず笑顔にさせるような遊び心をもった文具や雑貨

鎌倉から全国へ広がる輪

来店やオンライン販売を通じ、高い支持を集めている「コトリ」。2020年には宮城に2号店をオープン、北海道や名古屋でもポップアップストアを開催するなどその輪は広まっています。

宮城県に開店した2号店は、お店のある栗原市栗駒の街おこしとして、同市出身のメンバーが形にしたものなのだそう。こちらのお店では、文具や雑貨の取り扱いはもちろん、地域の子ども達が集まって宿題をする“宿題屋さん”というスペースや、その傍らで保護者がお茶を飲みながらゆっくり過ごせるスペースなども設けているとのこと。

また、ポップアップストアは、北海道・名古屋にある文具店の担当者が、SNSで「コトリ」を見つけメッセージをくれたことから実現したのだとか。同店の想いは、鎌倉から文具を愛する全国の人々へとつながっていきます。

  • 10周年を記念したオリジナル商品も販売中

想いをつなぐ交換日記

このコロナ禍において、「コトリ」は文具店ならではの発想で、全国の人々をつなげ勇気づける取り組みも行っています。「交換日記倶楽部」と名付け、インターネットなどで部員を募集し、部員間で交換日記を行っているというのです。

「コロナ禍で不安もあり、閉鎖的になってしまっている方もいらっしゃるかと思います。そこで、文具や私たちのお店を好きでいてくださる方々が、自由に想いを書いてシェアする場をつくりたいと、スタッフの日高京子が企画し広がっていったものなんです」と中村さん。

全国から参加の希望が寄せられ、交換日記は現在も部員のもとをまわっているといいます。交換日記には、お気に入りの文具の話から、近所にあるおすすめのお店の話など、たくさんの小さな物語が綴られているそうです。

「誰かの言葉が日記を手にした誰かを元気づける、そんな交流が生まれていたら嬉しいですね」と中村さん。

  • 全国の参加者をつないだ交換日記は店舗に置かれる予定とのこと。皆さんの想いが集まって戻ってくることが楽しみと話す中村さん

文具・雑貨の魅力を分かち合う場所

文具や雑貨から伝わる温もり、そこから生まれる心のやりとり…。こうした魅力を分かち合っていきたいという中村さんをはじめメンバーの皆さんの想いが、「コトリ」に漂うやさしさとなり、多くの人を惹きつけているのではないでしょうか。

いつか、お客さんが一息つけるカフェスペースを併設したいと中村さん。好きなものとじっくり向き合ったり、好きなものを通して交流が生まれたり、お手紙カフェにあった光景がこの場所にも生まれるかもしれません。

鎌倉・文具と雑貨の店「コトリ」は、これからもたくさんの人々の心を優しく勇気づけてくれることでしょう。

  • 店内には北鎌倉で人気の石かわ珈琲とコラボしたドリップコーヒーも

  • オリジナルのポストカードや切手も販売。「ぜひ手で書いて想いを伝えてほしい」と中村さん

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