幻のポイント“えぼし岩”の神秘的な魅力と未来に紡ぐ想い。ダイビングサービス「珠や潜水」

茅ヶ崎市に拠点を構えるダイビングサービス「珠や潜水」。メインインストラクターを務めるのが山石珠英さん、通称たまちゃん。元気いっぱい、声も大きめ、とっても明るいアラフィフ! そしてたまちゃんをサポートする旦那さんであるおさむさんの2名体制で運営しています。

そんな珠や潜水では、茅ヶ崎のシンボルでもある「えぼし岩」に潜ることが出来ると聞きつけ、お話を伺ってきました。幻のポイントと呼ばれるえぼし岩。どんな海中風景が広がっているのでしょうか。

ゲストとの会話から初のえぼし岩ダイビングを開催

珠や潜水は主に地元茅ヶ崎、神奈川、首都圏在住のゲスト向けに、西湘、伊豆をメインに沖縄、奄美、伊豆大島、八丈島、御蔵島などもツアーを催行しているダイビングサービスです。もちろんガイドはたまちゃん。毎回賑やかなツアーとなっています。そんな中で、ご近所のお住まいのゲストさんから「地元の海、茅ヶ崎に潜ってみたいな。どんな海中がひろがっているんだろう…」そんな言葉をたまちゃんへ投げかけたことがきっかけになりました。

えぼし岩がダイビングポイントとして潜れることは知っていましたが、潜ったことはなかったたまちゃん。以前は潜っていたダイビングサービスはあったものの、最近はどのサービスでも潜っていない…。
「茅ヶ崎に住んでいるのに、茅ヶ崎の海をしらないなんてもったいない。これは潜ってみないと!」と発起したのをきっかけにえぼし岩ダイビングがスタートしました。

えぼし岩でダイビングするためには船が必要です。そこで知り合いを通じて紹介してもらったのが、(株)パワーズサーフクラフトの三橋雅道さんです。「現在、ダイビングやスキンダイビングを目的としたツアーで、えぼし岩まで船を出せるのは三橋さんだけなんです」とたまちゃん。

「船長が船を出してくれるから、えぼし岩ダイビングが催行できるんです。釣り船などが多い中で安全に潜ることができるのも、地元で信頼があり、海を熟知している船長がいるから。気が付けば、えぼし岩ダイビングは今年で10年目を迎えます」

潜る度に新たな発見がある幻のポイント

現在、えぼし岩ダイビングは1か月に2回ほど定期催行しています。天気や海況にかなり左右され、船が出せないこともあるため「幻のポイント」と呼ばれるえぼし岩。

相模川に船を出し、川を下って、相模湾に出てえぼし岩へと向かいます。ダイビングは1日に2本。半日ほどのダイビングツアーとなります。休憩でえぼし岩に上陸することもあるそうです。

ダイビングポイントはえぼし岩の周りに点在しており、天候や海況を見ながら潜るポイントを判断していきます。イサキやアジがたくさん見られるような魚影の濃いポイントから、ソフトコーラルがふわふわと咲き乱れるポイント、砂地でネコザメやサカタザメが見られるポイントまで、そのバリエーションはとても豊富。百戦錬磨のたまちゃんも、茅ヶ崎でこんなにも面白い海に潜れるなんて!そう感動したといいます。

時にはハンマーヘッドシャークの群れが頭の上を通り過ぎたり、ただただ青く澄んだ海中風景が広がっていたり、はたまた、コンディションによっては海中が緑色になって1m先が見えない時も。いろいろな表情をみせてくれるえぼし岩のファンは増え続けています。

最近では、ダイバーのみならずファンがいるという人気のウミウシですが、1月〜4月にかけてかなり多くのウミウシを観察することができると言います。「カメラ派」や「マクロ派」と呼ばれるカメラ好きのダイバーにはもってこいのポイントとなっています。毎日入ってないので毎回新しい出会いがあります。

また、スキンダイビングでのツアーも開催されています。フリーダイビング日本代表の岡本美鈴選手もえぼし岩の虜に。さらに、サザンビーチから約2km先のえぼし岩まで、スノーケリングをしながら向かうイベントも開催されました。途中、えぼし岩に上陸するアクティビティを挟みつつ、参加者同士がワイワイと楽しめるイベントは大成功だったとのこと。

大切に潜っていくためのルール

ダイビングは道具を揃えたら個人で楽しめるようなサーフィンやSUPとは異なり、1人で潜ることはできません。Cカードと呼ばれるライセンスを取得し、基本的にはインストラクターのガイド付きで潜ることになります。

Cカード取得は10歳から取得可能。珠や潜水でも取得できます。取得後はお気に入りのダイビングサービスを利用して各種ツアーに参加するもよし、潜りたい場所まで足を運び現地サービスを利用するもよし。自分のスタイルで楽しむことが出来ます。

実は、えぼし岩のポイントに潜ることが出来るのはCカード取得後、いくつかの追加講習を受けたアドバンスダイバー以上となります。つまり、通常のダイビングよりも潜るためのスキルが必要ということ。

「魚が集まる魚影の濃いポイントは、流れが強いことも多くうまく体勢が保てなかったり、透明度が悪く周りがあまり見えない時はパニックになってしまうことも考えられるので、安全なダイビングをしてもらうという意味で制限を設けています」とたまちゃん。

「毎日潜れるわけではなく、現在は月に2回程度の開催としています。超人気ポイントとして毎日潜ってしまったら、せっかくの生態系が崩れてしまうかもしれない…。あまり潜っていないからこそ綺麗で魅力的な海中が広がっているんです。

また、NPO法人海の森・山の森事務局長の豊田直之さんと共に、えぼし岩のゴミ拾いを開催。このような活動を続けていくことで、自分たちにできることをしていきたい。魅力を伝えていくこと、潜り続けていくこと、海中を守ること…。この3点を忘れずに、今後もえぼし岩と向き合っていきたいと思っています」

幻のダイビングポイントと呼ばれる茅ヶ崎のシンボル、えぼし岩。そこには想像を超えた海中風景と、それを守り繋げていく人々の想いが広がっています。

珠や潜水主催の初めての写真展を開催!

先日、珠や潜水が主催する写真集が開催されるとのことで、お披露目会にお邪魔してきました。場所は藤沢市にあるダイビング好きが集まるカフェバー「Diver’s Cafe」。かわいらしい店内に、たまちゃん、おさむさん、そしてゲストのみなさんが撮影した写真が展示されており、癒し空間に。

沖縄や御蔵島などの写真もありましたが、多かったのはえぼし岩ダイビング時の写真でした。個性あふれる写真が出揃うのも、えぼし岩のバリエーションに富んだ海中風景によるものなのでしょう。

「何度潜っても、面白さがあります!」
「いつも海中が緑色なので、今度は青い時に潜りたい!」
「こんなにソフトコーラルが生い茂っていたのに今はないんですよー、また復活するのかな?」
「上をみたらハンマーヘッドの群れがいたんですよ!」

楽しそうにえぼし岩ダイビングのエピソードで盛り上がるゲストとその写真を見ながら、私も10年ぶりにダイビングを再開したいなと思えてきました! 茅ヶ崎のシンボルであるえぼし岩。潜ったり上陸したりすることで、新たな魅力を発見できそうです!

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