いつ開いてるの? 江ノ電が目の前を走るロケーション抜群の謎のアイス屋さん「イグル氷菓」

江ノ電腰越駅から徒歩3分、商店街の一角に、ちょっと不思議なアイス屋さん「イグル氷菓」があります。江ノ電が目の前を通るロケーションにありながら、地元でもどこか謎めいた存在として知られています。

おしゃれな内装が目を引くこのお店は、実はここから徒歩数分の場所ある人気のジェラート店「The Market SE1」の姉妹店。ご主人が「The Market SE1」を、奥様が「イグル氷菓」を切り盛りしています。今回は、その新(あたらし)ご夫婦に、直接お話を伺うことができました。

  • どことなくヨーロッパ感が漂う店内

江ノ島の前はイギリス!?

お二人は、江ノ島でお店を始める前、イギリスに住んでいました。奥様が「行ってみたい、住んでみたい」と強く希望し、日本料理の修行中のご主人も「俺も行きたい」と共に渡英したそう。当初は3年で帰国する予定でしたが、現実はそう簡単ではありませんでした。3年では何も成し遂げられず、仕事を転々としながら、職探しの日々が続きました。

ある日、奥様が「現地にF1ドライバー日本食の専属シェフがいない」という記事を見つけ、すぐに行動を開始。奥様が飛び込み営業を試み、ご主人はテスト期間を経て、正式に採用されることになりました。こうして、二人は少しずつ自分たちの道を切り開いていったのです。

その後、ビザの取得や経済的な問題など数々の壁を乗り越え、ついに永住権を取得。しかし、10年が経った時、ご両親の高齢化を考慮し、日本への帰国を決断したのです。

  • 「The Market SE1」の店主でもあるご主人

イギリスから帰国後、何をしようかと考えていたお二人は、ある日、江ノ島を散歩中に新築の物件を偶然見つけます。手狭な物件を見て「ここで何ができるかな?」「アイスだったら作れるんじゃない?」と話したそう。そして、甘いものが得意でない奥様でも唯一食べることができるアイスを作ろうとなり、一ヶ月以内に事業を立ち上げることを決めたそう。

「一ヶ月で準備するのは大変ではなかったですか?」という質問に対し、奥様はこう答えます。「講習会に参加したのですが、なんとなく自分たちでもできそうだと感じました。イギリスでの10年間の経験に比べれば、あれ以上に大変なことはないだろうと思えたんです。」

そして、2009年に江ノ島でジェラート店「The Market SE1」をオープンします。お店は開店当初から人気を集め、製造スペースが手狭になったため新たな製造所が必要になりました。そんな時、地元の農家さんが使用していたスペースが空くことを知り、現在の「イグル氷菓」の場所に製造所を設けることになったそう。

  • 江ノ電の路面区間沿いにある絶好のロケーション

「最初は製造所を作るだけの予定でしたが、ロケーションがよく、アイスキャンデーだったらお子さんとか地元の方が食べてくれるんじゃないかと思い、お店としても利用することにしました。実はイグルは“おまけ”のようなものだったんですよ。」

徐々に謎が解けていくような感覚が広がります。そう、「イグル氷菓」はまさに“おまけ”から始まったのでした。

イギリスでの苦労を全く感じさせず明るいご夫婦からは、どんな困難も二人で乗り越えてきた強さと絆が伝わってきます。

現在は、製造に専念するため、お店の営業日は金・土・日曜日のみ。販売はスズキヤさんにお願いしてるそう。こうした理由から、お店がなかなか開かないのでいつ開いているのか分からないという印象が生まれたのです。

そんな「イグル氷菓」の2024年の営業は10月まで。気になった方は、ぜひその温かい夫婦のストーリーとともに、訪れてみてください。

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