歴史が刻まれた空間で過ごす夜の贅沢時間。大人の隠れ家「山口理容店」ナイトバーバー

葉山御用邸の近くに、古き良き昭和の香り漂う理容店「山口理容店」があります。日中は古くからの常連さんを中心に賑わう街の理容店という雰囲気なのですが、夜になるとその雰囲気は一変。山口理容店には柔らかな明かりが灯り、店内に入るとレトロな空間に心落ち着く音楽が聴こえてきます。

出迎えてくれたのは4代目店主の山口太郎さん。日が落ちた頃、山口理容店は特別な空間で極上のリラクゼーション体験を提供する“ナイトバーバー”としての営業をスタートするというのです。どのような想いではじめられたのか、太郎さんにお話をうかがってきました。

  • 山口理容店4代目店主の山口太郎さん(撮影時のみマスクを外していただいています)

レトロな空間で極上の癒しを提供

山口理容店に足を踏み入れると、心地良い懐かしさに包まれます。木製の鏡台や時計、床、扉など歴史が刻まれたインテリアや建具が昭和の香りを漂わせ、レコードの音が心地よいノイズとともに流れています。

「ここは一日の終わりにやってくるお客様にとっての癒しの場。たっぷりと時間をとって、この空間で充実したメニューを提供することでお客様にご満足いただけたらと思っています」と太郎さん。

リラックスして過ごせるよう、2時間の枠は1人のお客さんのみ。そして、カットやシャンプー、マッサージ、顔・襟剃り、眉カットのほか、パック、ヘッドスパ、フェイシャルエステなど豊富なメニューを提供しています。

ぜひ体験していただきたいのが、これらのメニューをトータルで受けられるコース。実際に味わった編集部スタッフは、時を忘れるような空間、そして太郎さんの腕によって提供される極上の体験にすっかり癒された様子。施術後の顔は、見違えるようにすっきりしていました。

忙しない日常を離れ、自分の心と体を整える贅沢な時間を過ごすことができます。都内で仕事を終えて帰ってきた方、お子さんを寝かしつけて暫しの自分時間を楽しみにやってくる方など、さまざまな方が癒しを求めてやってきているそうです。

  • 木製の鏡台にはお店の歴史が刻まれている

  • レコードの音に耳を傾けながらの顔剃り…落ち着く時間だ

大正時代から続く山口理容店

レトロな空間が心地よい山口理容店ですが、創業はなんと大正のはじめ頃で、昭和30年代から現在の場所で営業をしているといいます。日中は太郎さんのお父様である3代目の昌男さんが店に立ち、人情溢れる街の理容店として賑わっています。中には、3世代で通っているお客さんもいるそう。

3代目の昌男さんは、「お客様が望む姿にしてあげるのが自分たちの仕事」という想いを持ち、キャリア60年近くなる今も新たな技術を学び続けているといいます。心が通う場所であるということはもちろんなのですが、常に“カッコいい”スタイルを提供しているというところも、山口理容店が長く人々を惹きつけている理由のようです。

  • 日中営業はユーモアたっぷりの3代目・昌男さんが店に立つ。美容師資格も持っており、女性客も多い

経験を糧に挑む4代目の挑戦

現在、山口理容店では父の昌男さんが日中の営業を終了させた後、店主を交代する形で息子の太郎さんが4代目として店に立ちナイトバーバーを開店させます。多くの人々に親しまれてきた老舗理容店で、どのようにしてナイトバーバーは始まったのでしょうか。

以前は横須賀米軍基地内の理容店で勤務をしていたという太郎さん。2020年6月、コロナ禍のロックダウンで基地内の理容店が営業停止となったこと、そしてさまざまな経験から自身の技術にも自信を持てたことから、構想を練っていた“ナイトバーバー”を開店させることを決意したのだとか。

「大変なこともたくさんありましたが、これまでの経験で身につけてきたものがあるからこそ、他の理容店には負けない、そんな気持ちを持って挑戦することができました」と太郎さん。

店内の棚に並ぶトロフィーの数々に、そう話す太郎さんの想いや覚悟を感じます。それらは太郎さんが理容学校時代に学生コンテストで受賞したもの。日々鍛錬を重ねた結果、パーマ技術部門では神奈川県優勝も果たしたのだとか。

理容学校卒業後も自身の技術をさらに向上させるべく、世界理美容選手権優勝経験のある理容師が代表を務める理容店で経験を積んだといいます。営業時間外も早朝から深夜まで練習に励み腕を磨いた太郎さん。その技術力、そして姿勢が認められ、同店では店長を任されたそう。

その後、技術の向上はもちろん業界を広く知りたいとの想いから、1000円カットを実施する街の理容店、そして米軍基地内の理容店とさまざまな経験を積んできたといいます。

  • 棚の最上段に並ぶトロフィーは太郎さんが学生コンテストで獲得したもの

  • 鍛錬をともにしてきた仕事道具は常に美しく整えられている

太郎さんがつくり出すバーバースタイル

こうした豊富な経験と技術によってつくり出される太郎さんのバーバースタイルは口コミやSNSでじわじわと広まり、今では遠方からも太郎さんを訪ねてお客さんがやってくるように。

例えば、グラデーションをつけながら刈り上げるスキンフェードというスタイルは太郎さんの得意なカットであり、多くのお客さんがオーダーしてます。

「スキンフェードはもともと海外でポピュラーなスタイルなんです。横須賀米軍基地内のバーバーではバリカンを使ったスタイルを提供することがほとんどで、刈り上げのグラデーション技術を向上する良い機会になりました。この経験が今につながっていますね」と太郎さん。

さらに、基地内ではさまざまな人種のお客さんに施術を行っていたため、異なる毛質や骨格の違いなどに対応して、より似合うスタイルを提供できるようになったといいます。

“カッコいい”スタイルを提供する山口理容店。それは4代目太郎さんのナイトバーバーでも揺るぎません。

  • 太郎さんのつくり出すバーバースタイルを求めて若いお客さんも多く訪れている。現在美容師免許取得も目指しており、男性・女性問わず最高のスタイルを提案していきたいと太郎さん

社交場としての理容店

カッコいいスタイル、そして極上の癒し体験を提供しているナイトバーバーですが、今後理容店の横にバースペースを設けることも検討していると太郎さん。

「理容店って社交場でもあると思うんです。さまざまな人が訪れ、いろいろな情報が交わる。髪を整えさっぱりした後に仲間と語り合う場をつくれたら…なんて考えているんです。もちろん、バーのみの利用で気軽に来ていただくのもいいですしね」

葉山にまた1つ、大人が羽を休める極上の居場所ができそうです。

  • ピアノの腕も相当な太郎さん。施術の合間に演奏してくれることも

受け継ぐこと、そして変化すること

日中と夜間でその表情を変える山口理容店。ただ、確かな技術でお客さんを満足させるとともに、安らぎのひとときを提供するという想いは、3代目の父・昌男さんも4代目の太郎さんも同じようです。

「理容店の魅力をしっかりと打ち出し、付加価値を付けていくことができればと考えています。それと普通のことをやっていてもおもしろくない、それはお客様にとっても。ナイトバーバーに関してはお客様にとっての憩いの場、そうなれるようやっていきたいですね」と太郎さん。

今日も日暮れとともに山口理容店には温かな明かりが灯ります。

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