夫婦で挑む第二の人生~キャンプ飯からアウトドアの楽しみを分かち合う「TREK CAFÉ」

小田急電鉄江ノ島線・六会日大前駅から歩くこと約5分、山小屋風の空間でキャンプにやってきたかのような気分を味わえるカフェ「TREK CAFÉ」があります。“キャンプ飯”をテーマにしたメニューはもちろん、店内では店主自らが厳選したアウトドアグッズの販売も行っています。

アウトドア愛に溢れたカフェですが、一体どのようなお店なのか、そしてどのような想いでつくられたお店なのか、店主の余宮信吾さんと美果子さんご夫妻にお話をうかがってきました。

  • やさしい笑顔で出迎えてくれる余宮信吾さん・美果子さんご夫妻

セカンドキャリアとしてカフェ開業を決意

余宮さんご夫妻が「TREK CAFÉ」をオープンしたのは2020年6月。大手雑貨店で役員も務めた信吾さんは、定年を迎え第二の人生として、カフェの開業を決意したそうです。そのコンセプトはトレッキングとキャンプ。

「子どもの頃にボーイスカウトに入り、アウトドアは常に身近にあるものでした。ワイワイと料理をして、みんなで食事を楽しみ、食後には珈琲を飲みながら語り合う。そんなキャンプの楽しみを皆さんと分かちあうことのできる場所をつくりたいという想いからこのお店を始めました」と信吾さん。

雑貨を扱う会社に勤めていた信吾さんはその経験を活かし、店内でおすすめのアウトドアグッズも販売。キャンプの魅力に触れられるお店をつくっています。

  • 店舗入口には余宮さんおすすめのキャンプ雑貨を販売するスペースが

また、第二の人生にカフェを開業した理由には、社会との接点を失いたくないという想いもあったのだとか。

「さまざまな世代の方が訪れるカフェは情報交換の場にもなります。また、お客様に満足していただくためには、やり取りの中で時代の動きなどを捉え、メニューやサービスなどを考えていく必要があります。このように常に刺激をもらえる場をつくりたいという気持ちもありました」と信吾さん。

さらに、TREK CAFÉには創作活動を行う奥様・美果子さんの夢も詰まっているといいます。2階には、ご自身のアトリエとともに、クラフト作家などが教室を開けるレンタルルームを設けています。カフェ入口では、美果子さんの作品やクラフト作家の作品も販売されていました。

「今はお店を始めたばかりで大忙しの日々ですが、少し落ち着いてきたら皆さんと一緒に作家さんの教室に参加する時間も増やしていけたらな…と楽しみにしているんです」と美果子さん。

人々が集うカフェという場を活かし、自身もお客さんもみんなで楽しめる機会を創出していくようです。

  • 2階のレンタルスペース。現在、カリグラフィー、アートクレイシルバー、クラフトバンド、味噌づくりなどの教室が開講されている

  • カフェ店内では、クラフト作家や美果子さんの作品を販売

コンセプトは「疲れた体を癒す森の木陰」

TREK CAFÉでは、アウトドアさながらの日常を少し離れた体験を提供するため、内装には木材をふんだんに使用し、山小屋風の落ち着く空間をつくりだしています。

「コンセプトは『疲れた体を癒す森の木陰』。ロッジで休憩するような非日常の体験を楽しんでいただけたらと思っています」と信吾さん。

テラスにはウッドデッキを設け、キャンプチェアやテーブルを配置。店内の壁にも年代物のランタンや、遊び心をくすぐるアウトドア雑貨が散りばめられています。

また、店内の一角には大テーブル、その前には大型のテレビを設置。テレビ画面には、各地の山の映像やキャンプのレシピ動画が映し出されていて、テーブルを囲んでアウトドア話に花を咲かせる、そんな楽しみも提供しています。

  • 木をふんだんに使用し、温もりある店内に

キャンプ飯のおいしさと楽しさを提供

そして、カフェでいただけるのが、ホットサンド、じっくり煮込んだドライカレー、低温調理でやわらかく仕上げたポークステーキ、スモア、フレンチトーストなどキャンプ飯から広がったメニューの数々。

長年、キャンプで料理を作ってきた信吾さんですが、カフェの開店に向けて会社員時代からカフェ開業スクールに通い、料理やサービスの心得、素材の扱い方、機材設備などを一から学んだといいます。そして、キャンプ飯をお客さんに満足いただけるメニューにアップデート。

「キャンプ飯は非日常の中にあるもの。ぶ厚い肉をじっくり焼き上げたり、ダッチオーブンで長時間かけて煮込んでみたり…、思い切りこだわることが楽しみでもあります。そのエスプリを入れながらメニューを考えています」と信吾さん。

一番の人気メニューである、パンにハム、チーズ、ピクルス、ローストポークを挟んだ「キューバサンド」にもそのこだわりが詰まっています。ローストポークは、低温調理でじっくりと火を入れることで旨味を閉じ込め、やわらかな食感に。そこにお店ならではの技もプラス。オレンジをベースにしたソースの酸味と甘みで、肉の旨味を引き立てています。

  • 外はカリっと中はふっくらとしたパンとともに、ローストポークの贅沢な味わいが口の中に広がるキューバサンド

二人三脚でつくるお店

スイーツはお菓子作りが得意な美果子さんが担当。お子さんが小さな頃から作っていて、家族に大人気だったというりんごのケーキなどを提供しています。

また、スイーツ以外にも1つ美果子さんの担当があるといいます。それが、パイナップルドライカレー。信吾さんが大好きだった老舗喫茶店のドライカレーの味を再現し、パイナップルを加えることで新たな味わいを加えてメニュー化したものなのだとか。野菜をじっくりと煮込み、スパイスをブレンドしてつくるこだわりのカレーはリピーターも多いそう。

「妻は丁寧で細かな作業が得意なんです。スパイスの微妙なブレンドは私では駄目で、妻にしかできません。スイーツに関しても、妻はモノづくりの人ですから、見た目にも楽しんで欲しいという想いが詰まっていて…私は手も触れさせてもらえないんですよ(笑)」と信吾さん。

長年人生を共にしてきたお二人。お互いの得意なところを活かしながら、キッチンでも息ぴったりのチームワークを見せています。

  • それぞれの分担で調理場に入る信吾さんと美果子さん

  • キャンプの定番であるスモアは、ダークチョコを加えて甘すぎない味わいに。チョコが残った際には、ホットココアにしてもらうことも可能

キャンプから生まれるメニューのアイデア

信吾さんはボーイスカウトのリーダーも務めており、その活動も含めると月に1回はキャンプを行っているのだとか。その中で、料理に関するさまざまなアイデアも生まれているといいます。

「キャンプでは、仲間と自由な発想で料理を楽しむことができます。意外な組み合わせだけどおいしい料理が完成することもあって、それがメニュー開発のきっかけになることもあるんですよ」と信吾さん。

「キャンプの料理って、遊びやいたずらみたいなところもありますよね。普段はやらないようなこともキャンプの場では試してみたりして…それが意外にもおいしい、なんてことにもなったりしているようですね」と美果子さん。

釣った魚をあれこれ考えながらみんなで調理する。火を囲んでお酒を飲むことを楽しみに手元にある食材を使っておつまみを用意する。そんなキャンプの楽しみの中から生まれたメニューをTREK CAFÉで提供、その魅力をお客さんと共有しています。

  • 体験も含めて楽しいのがキャンプ飯

  • キャンプの度にさまざまな料理に挑戦する信吾さん

キャンプの楽しさを知っていただく

カフェで提供しているメニューの多くは、店内で販売しているアウトドア用調理器具を使用することでお客さん自身がキャンプに行った際に作ることもできるといいます。

「ここでキャンプを感じる料理を召し上がっていただき、調理器具を含めたさまざまな道具に触れていただく。そこからキャンプに興味を持っていただけたら嬉しいですね」と信吾さん。

調理器具のほか長年のアウトドア経験と雑貨業界で養った目利きによって厳選されたアウトドア雑貨も並んでいます。料理の注文が入っていない時には、信吾さんのおすすめポイントをじっくりとうかがう、なんて楽しい時間も過ごせるようです。

実際、店舗へ訪れキャンプに興味を持ったお客さんが相談にやってくる姿も見られており、料理や持っていくべき道具など、一緒になって考えることもあるのだとか。キャンプの楽しさを分かち合えるその時間は、信吾さんにとって幸せなものだといいます。

  • 店舗で提供されるホットサンドやキューバサンドを作れるアウトドア調理器具も販売

人々が集まり、共有できる場所でありたい

オープンから約1年半、トレッキングやキャンプの魅力を届けてきたTREK CAFÉ。SNSを見て興味を持った方が、県を越えて来店されることもあるそうで、その輪は広がっています。

アウトドア好きの方が交流を楽しみにやってきたり、これからキャンプを始めたいという方がキャンプ飯を楽しみに来店されたり、ご年配の方が旅の雰囲気を感じたいと訪ねてきたり…さまざまな出会いがあるといいます。

「常連のおばあちゃまがお店を後にする際に“今日もいい旅ができました”なんて言ってくれて…。ここでの時間が、その方にとっての非日常になっているのかなって思うと嬉しいんです」と美果子さん。

「トレッキングやキャンプを軸に、皆さんが集える開かれた場所にしていきたいですね。これまでは会社の一員でしたが、これからはすべてを自分達で築き上げていかなければなりません。だからこそ、これからの出会いがとても楽しみなんです。ただ、妻と私の二人ですから、のんびりとやっていきたいと思っています(笑)」と信吾さん。

信吾さん、美果子さんの第二の人生は始まったばかり。新たな目標はお二人をさらに輝かせ、お客さんにとっても素敵な出会いを生み出していくことでしょう。おいしい料理と穏やかな時間を楽しみに、非日常を味わえる「TREK CAFÉ」を訪れてみてはいかがでしょうか。

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