「ラーメンを分解するスタイルも面白そうですね」対談:大西芳実x武田双雲(第4回)
湘南・鵠沼海岸にオープンした、オーガニックメニューを取り扱うカフェ「Chikyu(地球)」。書道家・武田双雲さんが開いたこのお店に、鵠沼の人気店「麺やBar 渦」の店主・大西芳実さんが訪れました。
いよいよ迎えた最終回は、大西さんが持参した自家製麺を茹でるところからスタート。そして、味付けについてのふとしたアイディアが展開を大きく変えることに……その一部始終をご覧ください。
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大西:
……あのー、麺茹でてもいいですか? せっかくだから、みんなにちょっと食べてもらいたいです。冷水で締めただけなんですけど、麺の味がよくわかると思います。
茹でた麺に塩をちょっとつけて食べる、っていうシンプルな感じで。要はラーメンの分解です(笑)なかなかお店でもこういう食べさせ方はしないんですけど、麺だけでどんな味がするかっていうのを是非。
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エディーさんとの塩談義も挟みつつ、大西さんが「Chikyu」のキッチンに立ちました。 はじめてのフィールドでも慣れた手さばきで作業をこなし、程なくして完成。ツヤツヤな麺は表面が艶やかで、輝きを放っていました。
大西:
まずはそのまま食べていただいて、その後塩をちょっとつけて召し上がってください。小麦の香りがよく分かると思います。本当はこうやって食べたほうが麺は美味しいんですよね。
双雲:
なんだか蕎麦みたい! え〜っ、これラーメン!? 麺ってこんなに美味しいんだ!
これは、とっても美味しいです。(ラーメンだと)これでスープも付くんだよね?
大西:
そうですね。着目する点もあって、麺ありきでスープを作るのか、スープありきで麺を作るのかでもまた違ってくるんです。で、麺が良くなってくるとスープを変えたりとか、常にバランスを見ながら改良してます。
▲ 麺を試食する(手前から)武田双雲さん、ミチコさん、エディーさん
お店にある塩で味を変えながら麺の旨みを堪能する双雲さんの横から、ふとした思いつきでエディーさんがオリーブオイルを持ってきます。
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双雲:
塩とオリーブオイル、いいよね。(この組み合わせは)もう定番だから。いただきます。……んっ! これね、料理が生まれてる!(笑)
エディー:
……うっま。いや、これヤバい! オリーブオイルでちょっと味わってみて!
大西:
これ……いわゆる油そばみたいな感じですよね。
双雲:
確かに! オーガニックの最高級油そば! これだけでちょっと勝負してみたい(笑)
オリーブオイルを入れると味が立体になって、料理に近づくね! 相当美味いですよ。
ミチコ:
パンにつけて食べるよりもぜんぜん美味しい。オリーブオイルが合うってことは、ラーメンもパスタも極めていくとあんまり変わらなくなるのかも……
これ、(アメリカ行きは)決まったね。
エディー:
これで、これからスープが来るんでしょ? ヤバいよ、ラーメンの概念を変えちゃうよ。
大西:
スープはスープで別に作って、こういうスタイルで食べていただく、ラーメンを分解するスタイルも面白そうですね。そのためのスープもいろいろと作れそう。
エディー:
たとえばさ、醤油ラーメンなら醤油ラーメンがひとつしっかり軸としてあって、その上でこういう食べ方も用意すればいいよね。麺だけで、ってなかなか味わえないじゃない。
大西:
これはこれで、ひとつの食べ方の提案というか。食べ方としては相当マニアックですけどね。
双雲:
オリーブオイルと塩とラーメン、って意外と誰もやってないかも。ほんとに麺が良くないとこんなことできないですよね。
大西:
……昆布で出汁作ってそれに浸しておいて、それに塩とかちょちょいとつけて食べて、ってどうですかね。つけ麺なら似たようなのがありますよ。
ミチコ:
いや〜、いいものが形になっていくっていうのはいいよね〜。
旨みたっぷりの麺とオリーブオイルが見事な競演を魅せ、一同がラーメンに新たな可能性を感じたところで今回はタイムアップ。タイムレスな雰囲気に包まれていたせいか、気付けば3時間も過ぎていたのです。
湘南という土壌で知り合った面々が共有した、“湘南の海の向こうからラーメンに革命を起こす”というビジョン。実現の日はそう遠くないかもしれません。
湘南談義録 -SHONAN casual minutes-
気心知れた相手とのおしゃべり。時に笑いながら、またある時には込み上げるものを感じながら……それは湘南の暮らしをよく表しているひとときかもしれません。
この街の生活を彩るものとは、いったいどのようなものなのでしょうか。本コーナーでは、“湘南の良さ”としてしばしば挙げられる「つながり」をテーマに繰り広げられるトークをお届け。海薫るスローライフのエッセンスをご紹介します。
ライター情報
akira suematsu
湘南生まれ湘南育ちの純・湘南ボーイ。そのわりにサーフィンは未経験だが、鵠沼の海が世界で2番目に落ち着く場所である。まだ見ぬ湘南の魅力、そして多様なライフスタイルのあり方を求めて、ペンとカメラを両手に行動範囲を拡大中。
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