藍染をもっと身近に親しみやすく。AIMI SHONANの想い

今年(2023年)1月、茅ヶ崎のラチエン通りに藍染AIMI SHONANの工房がオープンしました。

趣味ではなく、本格的に藍染と向き合いたい。そして藍染をもっと多くの人に知ってもらいたい。
そんな想いを胸に、「湘南で藍染の工房を開く」という夢を叶えた信岡典子さんにお話を伺いました。

藍染とは?

「藍染(あいぞめ)」とは、「藍」という青い色素をもつ植物で染めたものの総称で、本州ではタデ藍というタデ科の植物を使ったものが代表的です。ほかにも、沖縄の琉球藍を使った「泥藍(どろあい)」などがあります。

刈り取った藍の葉だけを天日干しで乾燥させ、100日間ほどかけて水を撒き、発酵してできたものが「すくも」。これが藍染の材料とります。藍師と呼ばれる職人が、気温や湿度の変化に合わせ、水をかけたり、混ぜたりしながら作り上げていくものです。AIMI SHONANでは徳島の藍師さんからすくもを仕入れています。

  • 藍の葉

  • 乾燥した葉・すくも

このすくもだけでは藍染はできません。染色液を作る工程を「藍建て」と呼び、すくもと灰汁、ふすま(エサ)などを加えて加熱し、発酵させます。この過程によって、作り出す色が決まってくるという大切な作業です。
できあがった液は黄緑のような色ですが、酸素に触れさせて酸化させることで美しい青へ変化。また、染める回数によって色味も異なってくるので、浸しと酸化を繰り返していき、理想とする色へと仕上げていきます。

  • 本職の傍らで工房を手伝う息子の正さん

藍染との出会い

信岡さんが初めて藍染に触れたのは、2015年。都内で働いていた頃の職場の先輩に誘われて藍染の体験会に参加した時のことです。すぐに藍染の面白さや奥深さに感動し、藍染の虜に。自分でも藍染をしてみたい!その一心で、インターネットなどから情報を得て、試行錯誤しながら身の回りのものを染めているうちに、そのまま藍染が趣味になっていきました。

初めて商品として販売したのが、2019年に静岡県で開催されたマルシェでのこと。ハンドメイド作品として自分の染めたものが売れる喜びとともに、藍染を知ってもらえる機会となったことが嬉しかったといいます。

そのマルシェでの出店後間もなく、日本で新型コロナウイルスが流行。自宅待機やリモートワークが多くなり、生活が激変します。世の中は深刻なマスク不足。そこで信岡さんは自ら手作りしたマスクを藍染し、お友達や職場仲間、知り合いに配り始めます。何百枚とマスクを作っている中で、本気で藍染をしたいと思うきっかけとなった、と信岡さんは話します。

正藍染を学び工房オープンへ

コロナ禍が長引くにつれて、「何か自分にできることはないか」と考えるようになった信岡さんは、藍染の知識と技術を磨くことを決意。2021年、正藍染の講習を受けることにしました。

正藍染とは、すくもを染料にする際に、灰汁(あく)のみで藍を建てる方法。化学薬品を一切使わず、昔ながらの方法で“本建て”された染液を使用して染められたもので、現在は講習を受けることでしかその技術を身に着けることはできません。

現存している藍染の手法をすべてやっていきたい。沖縄のもの、本州のもの、本藍染、正藍染、そういった分け隔てなく全部をやっていきたい…。その想いとともに講習を無事に終了しました。

いろいろなことにチャレンジして新しい風を吹き込みたいと、昨年に無印良品とコラボし、店頭で商品を藍染するデモンストレーションを行いました。レストランのランチョンマットやお店のロゴ入りのバッグを染めてほしいといった依頼も増え始め、しっかりとした工房を持ちたいと思うようになり、2023年1月に茅ヶ崎のラチエン通りに工房をオープンさせました。

湘南、とくに茅ヶ崎の雰囲気が好きなんですよ~!THE湘南って感じがしません?と笑いながら話を続ける信岡さん。住んでいる人たちのライフスタイルや、海の近さ、時間の流れ方…挙げだしたらキリがないほどほれ込んだ土地。工房の場所探しには苦戦しましたが、タイミングと良縁によりラチエン通りにガラス張りの工房を構えることができました。夢が叶った!と思いましたね!

  • ラチエン通りに面する工房

藍染のイメージを払拭したい

藍染ってなかなか手が出ない、高価なイメージがありませんか?伝統、正装、お堅い、そんなイメージを変えていきたいと思っているんです。気軽に、POPに、おしゃれに。誰もが普段から身に着けられるようになってほしいんです。

AIMI SHONANの工房内には、洋服だけではなく、帽子やエプロン、スカーフ、ハンカチ、バッグ、そしてペット用の洋服など様々なアイテムを目にすることができます。

藍染したものは、除菌、紫外線カット、防虫、防臭、皮膚を保護する効能があり、皮膚が弱い人、日焼けしたくない人、ペットの熱射病予防などにも効果的であることを知ってもらいたいです。時間をかけているものが高価であるべき、そういった凝り固まった文化や思い込みをなくしてもらって、どんどん日常に藍染を取り入れてもらいたい、そう思っています。若い人たちにも広まっていくような、おしゃれで手に取りやすい洋服、キャンプ用品や海グッズなどにも挑戦していきたいですね!

  • 藍染により美しく染まったシャツ

  • 藍染された愛犬の服

気軽に藍染に親しんでほしい、そういった想いからワークショップは1人からでも随時受付中というAIMI SHONAN。自分の手で染めた美しい藍色のシャツで海へ繰り出す…そんな素敵な湘南ライフを過ごしてみるのはいかがでしょうか?

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