坐禅で始まる北鎌倉の朝。円覚寺で心を整えるひとときを。

早朝の澄み切った空気の中、やわらかな日差しが降り注ぐ湘南・北鎌倉の「円覚寺(えんがくじ)」。ここで行われている坐禅会は予約不要・無料で参加でき、誰でも坐禅を体験することができます。

スズメやホトトギスの鳴き声が響く空間で、朝の訪れを感じながら心を整えるひとときはまさに格別。せわしない日々の中で、少しだけ静かな時間を持ってみてはいかがでしょうか。

あの文豪たちも参禅した、由緒正しき円覚寺で朝の坐禅を。

臨済宗円覚寺派の大本山で、文豪・夏目漱石や島崎藤村も参禅していたという円覚寺。いまからおよそ700年前の鎌倉時代後半に建てられ、「鎌倉五山」に名を連ねる由緒正しき寺院です。そんなここ円覚寺では、毎日早朝に「暁天坐禅会(ぎょうてんざぜんかい)」という坐禅会を行っています。

呼吸を“感じる”。心身を整える坐禅。

外からの光にのみ照らされた仏殿内に、柝(たく、拍子木)が打ち鳴らされる音が鋭く響き渡り、その後、引磬(いんきん、手持ちの鐘)の音があたりを優しく包み込むように鳴ると坐禅が開始されます。

静寂と澄んだ空気に包まれる仏殿の中に聞こえる小鳥のさえずり、半眼の先に揺らめく優しい光、自然と一体になったような感覚を感じつつ、一つ一つ呼吸を数えていきます。そうすると、呼吸により体が整えられ、自然と心が整えられていきます。

人は生きている限り呼吸をし続けますが、日常生活の中で呼吸を意識するということは多くありません。坐禅を通して小さなことに目を向けると、自分自身はこの世界の中で生きているんだと改めて実感します。

一度小休止を挟むので、足が痛くなってしまった方はここで少し足のマッサージ等を行いましょう。その後僧侶の方が警策(けいさく)という木の棒を持ち、坐禅を組む前をゆっくりと歩いていきます。

初心者の方については、希望者のみ警策で肩を打ってくれます。「自身の集中力が途切れているな」と思った方は僧侶の方が前に来た時に合掌し、深く頭を下げます。僧侶の方も同じく合掌し頭を下げてくれるので、その後自身の両肩を抱き姿勢を下げます。肩を打っていただいた後に再度、合掌し頭を下げます。

禅堂内での警策は文殊菩薩(もんじゅぼさつ)の手の代わりであると考えられており、警策で打つという行為は、坐禅修行が円滑に進むようにという“文殊菩薩による励まし”という意味を持つそうです。そのため、両者ともが警策を「与える」「いただく」前後に合掌低頭し、お互いに感謝の意を表します。

読経、そして坐禅終了。心に平穏を、感覚に鋭さを。

警策が終わると、最後に読経を行います。

姿勢を正座に切り替え、僧侶の方にならって「般若心経」などを唱和していきます。読経を終えた後は、借りた座布団などを返却して外に整列。参加者全員で僧侶の方に挨拶をしたら坐禅会は終了となります。

坐禅を終えて仏殿の外に出る時に感じる空気の温度や匂い、風に揺れる木々の木の葉ずれの音、目に飛び込んでくる光の鮮やかさにはハッとさせられます。心に平穏を感じつつ、五感が研ぎ澄まされている不思議な感覚にはとても驚かされるでしょう。

「暁天坐禅会」に参加するための早起きは少し辛いかもしれませんが、参加することで得られるもの、気づかされるものには代え難いものがありますので、ぜひ参加してみてください。日々の忙しさの中で忘れてしまっていた大切な何かに、ふたたび出会えるかもしれません。

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