オシャレで、どこか懐かしい。湘南特有の“心地良いユルさ”が漂う「街の自転車屋さん」。

自転車でサイクリングを楽しんだ帰り道、平塚でふと楽しげな自転車屋さんを見つけました。

ビーチクルーザーやBMX、西海岸テイストあふれるカラフルな自転車から、普段使いの自転車まで幅広いラインナップ。そして「駄菓子屋OPEN」の不思議な下げ札……ちょっと面白そうなこのお店に、思い切って入ってみました。

骸骨のオブジェが出迎える店内には数多くの自転車が並びます。どこから見てもサイクルショップですが、その奥にはどうやら駄菓子がいっぱい並んだスペースが。何とも???な光景です。そんな“普通ではない”自転車屋さん「ボインゴサイクル」の宇田店長に、さっそくお話を伺いました。

脱サラ後、バイクで日本一周! 平塚出身の店長が自転車の世界に足を踏み入れたきっかけとは…

  • ▲ パッと見でも“何かが違う”が漂う店構え

  • ▲ 入り口の骸骨に「こんにちは」

宇田さんは、生まれも育ちも平塚。大学を卒業後に自動車部品メーカーに勤めた後、脱サラしてバイクにまたがり日本一周の旅へ。

「沖縄をスタート地点として、日本を北上する予定でしたが、想像以上に楽しくて沖縄に3ヶ月滞在しちゃいました(笑)そんな沖縄滞在時に、マリンレジャーの仕事を手伝って、『ありがとう』ってお客さんに笑顔で言ってもらえたのがとても嬉しくて。人に喜びを与えられる仕事をしたいと思ったのが自転車屋さんを目指すきっかけでした」

  • ▲ ビーチクルーザーからBMX、多彩な自転車が並ぶ店内

日本全国を巡った店長が語る、“古き良き光景”が残る街・平塚。

「より多くの人に接することができるから」という理由で、バイク屋さんではなく自転車屋さんを選んだという宇田さん。サイクルショップで修行を積んだ後、自らの店をオープン。2015年5月に、小学生時代から親しんでいた平塚・花水台にドイツ菓子の名店「バッハマン」を改装して、移転オープンしました。

「海岸線沿いにお店が並び、そして人々が暮らす住まいもある。そんな光景って、他にあまりないんですよ」と宇田さん。実際に日本一周をしてみて、湘南や平塚の魅力に改めて気付いたそうです。

  • ▲ いつもの笑顔とは打って変わって、真剣な眼差しの宇田さん

「平塚は湘南といえども、まだまだ昔気質で頑固な人も多い。そんな、いわゆる今風の湘南らしさになりきれない、古きよき人や光景が残っているのが平塚の魅力じゃないでしょうか」

そんな昔ながらの姿の象徴ともいえるのが、店の一角にある駄菓子屋さん。小学校時代の幼なじみが「子どもが集える場所を」とはじめた駄菓子屋を、その思いとともに引き継ぎました。

  • ▲ 愛情あふれる手書きの文字がいっぱい

自転車屋さんの中に駄菓子屋さんが…? 誰でも笑顔になれるお店に“師匠”あり。

「目指すのはやっぱり誰にも愛される“街の自転車屋さん”。大人から子どもまで、気軽に集まれる場所があればいいかなと」。宇田さんの言葉通り、学校が終わる時間になると、お店は駄菓子を求めに来た子どもたちの笑い声に包まれます。

そんな子どもたちに優しく声をかけ、店番を任されている方は釣りの名人としても知られ、子どもたちからも敬意をこめて“師匠”と呼ばれています。

  • ▲ 駄菓子屋は、子供たちのワンダーランド

「今は駄菓子屋さんも少なくなりましたが、『これで好きに買っていいよ』と100円を渡すと、子どもなりにいろいろと計算して買うのも楽しそうで社会勉強になりますよね。駄菓子はコンビニとかにもありますが、消費税とかの計算は子どもには無理ですし。こういう場所があると本当にありがたいですよね」と子連れで来ていたママも太鼓判。

今どきのおしゃれなサイクルショップかと思いきや、その実、とても親しみやすい“街の自転車屋さん”であった「ボインゴサイクル」。こんな素敵なお店が身近にあることに、ちょっとうらやましい気持ちになりました。

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