すばな通りが“帰ってきたい場所”に。コミュニティを産み出す食堂「ウミノマチ」

江ノ電の江ノ島駅から、江の島へ向かって続く商店街「すばな通り」。名前があることも知らず、ただの「通路」として通り過ぎる人が多いこの通りを、もっと楽しめる場所にしたいと語る「ウミノマチ」の店主、平川さんにお話をお伺いしました。

木のぬくもりを感じる店内には、お客さん同士会話がしやすい距離感でテーブルと椅子が並べられています。昼は食堂、夜は居酒屋としてお店を営業していますが、実は飲食店がやりたくて始めたわけではなく、コミュニティづくりがしたかったそう。

小さな塾が育む“コミュニティ”との出会い

もともと、塾や学校向けに教材の営業をするお仕事をされていた平川さん。営業先の小さな塾などでは先生と生徒だけの関係でなく、保護者や近隣の方なども関わって、そこに“コミュニティ”ができていることに気づきます。

「“いいな、いつか自分もこんなコミュニティをつくりたい”って漠然と思った。いまの時代、隣に住んでいる人の顔も知らないのが当たり前になってる。でも、なにか災害などが起きたときは自分たちの街を守るための連携が必要。だから、そんなきっかけになるコミュニティがつくりたかった」。

人との繋がりを大切にしたいという平川さんの想いが伝わってきます。

すばな通りでお店を始めたきっかけ

「すばな通りって、江ノ電の江ノ島駅から江の島に向かう人だったら必ず通るんだよね。この通りには面白いお店がたくさんあるのに、江の島が目的地の人にとってはただの“通路”。そんなイメージを変えていきたい」。

そう語る平川さん自身も、以前は“通路”として通り過ぎていた地元民のひとりでした。しかし地元のお祭りに参加したり、すばな通りの近所に住む方たちのコミュニティに触れていくうちに、「この通りに寄り添って、なにか力になりたい」と思うように。

そんなある日、現在の物件が空くという話を聞き、「これも縁だな」と即決。翌日には当時の会社に退職を告げ、「コミュニティづくりのスタートとしてはやりやすかった」という飲食の道へ。

そんな平川さんのもとには近所の方がよく訪れ、地元の方同士の交流がうまれる“コミュニティ”ができています。

「観光の方が来店したときには、近所の方が声をかけてコミュニティの中に入れてくれるのも嬉しい。そうやって自然にコミュニティがうまれるのが1番だよね。そんな場所がこの通りに増えて、“なんかすばな通りっていいよね”と思ってもらえたら」。

取材時にも近所の方が来られて、平川さんとの会話を楽しんでいました。

“ウミノマチ”という店名に込めた想いと、これからの形

ウミノマチという店名には“海”と“産み”をかけているそう。

「あえてカタカナにしているのは、読み手にイメージを任せて、そこから新しい“なにか”が産まれてくれたらという期待も込めてる。まあ、いい加減なだけだけどね」と、笑顔で教えてくれました。

「たくさんの人がすばな通りを知るきっかけを“産むことができたら、そこで初めてウミノマチ”になるのかなって。そのためには通りのコミュニティづくりだけじゃなくて、外にも目を向けて発信していきたいな」。

0から1にする“産み”の部分。その0と1の間には、きっと数え切れないほどの物語が待っているはずです。

取材の後日、筆者がお店に遊び行くと、「おかえり!」と優しく迎えてくれた平川さん。ウミノマチというコミュニティが、すばな通りを“通路”から“帰ってきたい場所”に変えてくれた瞬間でした。

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