シェフ自ら命懸けで大自然へ! 自家製無添加フレンチ「Le Passeport(ル パスポート)」。
南に相模湾の豊かな漁場、北には緑豊かな丹沢山地。農業や酪農も盛んな湘南・平塚。「料理人にとっては天国のような場所です」と話すのは、自家製無添加にこだわる創作フレンチ「Le Passeport(ル パスポート)」のシェフ・村上貞弘さん。
大自然に食材を求めて36年。村上シェフ自ら鉄砲を担いで猟に行き、山で水を汲み、野草や木の実を取り、早朝の魚市場で最高級の魚を競り落とす。大自然を知り尽くしたシェフが創り出す料理は、一口一口がまさに驚きの連続。シェフの究極とも言える、料理への探求心と行動力が生み出す、唯一無二のレストランをご紹介します。
湘南・平塚でリーズナブルに楽しむ本格派! フレンチの極上フルコースはグラス1杯の水から。
「自然界の恵みで私の料理は完成します。作れないものはないです」という村上シェフ。何事もその歴史から学び、人生をかけて探求します。添加物等は一切使わず、ハム、チーズ、バター、パン、リキュール、お茶、コーラ、ジンジャーエールまで……お店で出すものすべてが自家製無添加なんだそうです。
▲ カウンター8席の小さなお店
「ル パスポート」では、「デジュネ(昼食)」「昼夜共通ハーフコース」「フルコース」と、村上シェフのこだわりが堪能できるコース料理を提供。筆者が席に着くと、シェフ自らが汲んできた丹沢の水とヒノキを使った、香り豊かな白湯が出てきました。「体を健康にリセットしてほしい」との想いから、全てのコースの初めにお出しするのだとか。
▲ 村上シェフ自ら汲む丹沢の水
▲ 自家製スパイシーコーラ
シェフの人生と魂が込められた、野趣豊かなコース料理を。
四季折々の野や山を歩き、草木、実、茎までも、料理やお茶、
「アカゼムロアジのお寿司」「ツルニンジンの天ぷら」「小田原サバの燻製」「小イサキのマリネ」……
▲ フレンチなのにお寿司!
鮮やかな朱色に輝くトマトの冷製スープをいただいた後は、メインの「アカムツ(ノドクロ)のポアレ」。ガマズミ(木の実)の種を裏ごしした甘酸っぱいソース、甘鯛の鱗、チンゲン菜のクリーム煮と共に、大自然の恵みを堪能できます。
「これも手作り?」という驚きと、これまで食べたことのない美味しさに、終始、圧倒されっぱなしの筆者でした。
▲ 色鮮やかなトマトの冷製スープ
▲「アカムツ(ノドクロ)のポワレ」
「ル パスポート」自慢の自家製無添加チーズとパン。ヨーグルトは四季の恵みを添えて。
酪農が盛んな平塚で、牧場から40~50キロの生乳を直接買い付け、無添加のチーズ、バター、ヨーグルトなどを作るそうです。
ル パスポート自慢のチーズは6種類。ピラミッド、ブルー、サンドレ、カマンベール、ブランデーに漬け込んだ栗の葉包み、クロタン。どれも香ばしく濃厚、自家製チーズならではの味わいが楽しめます。お気に入りのワインを持ち込めば(※持ち込み料別途)、チーズとワインのマリアージュで至福の境地へいざなわれること間違いなし!
▲平塚の牧場の生乳で作る自家製無添加チーズ
「ル パスポート」のもう一つの自慢は、国産小麦と自然塩、丹沢の湧き水だけで作る自家製パン。イースト菌などの添加物は一切使わず、フランス古来から伝わる「ルヴァン」という、小麦から起こす種を作るそうです。チーズにはローストした小麦ふすまを練り込んだパンなど、料理毎、または季節毎に様々なパンがいただけます。
デザートは自家製ヨーグルトに、サルナシ、キンカン、野生のイチゴ、桑の実、ハーブなど、四季の恵みを添えて。なんと、その中にはドングリが!膨大な量のドングリの殻をむき、アクを抜いて煮込むことで、料理やパン、デザートに多用できるそうです。
▲ 種から自家製の無添加パン
▲ 自家製ヨーグルトの下にはドングリが!
これぞ、究極の料理! 命を懸けて大自然の恵みと向き合う。
お店の定休日は愛犬ランボーと共に山へ行って、野草や木の実などを採取するそうです。冬の狩猟解禁期間には銃を持ち、獲物を射止めて、ジビエ(鹿や猪)料理に。猪と鉢合わせをして命懸けで戦ったり、木の実を採ろうと崖から落ちたり、富士山で突風に煽られるなど、生傷が絶えないそうです。それでも「美味しいものを食べてほしい」と、命懸けで大自然の恵みと向き合います。
▲ 鹿や猪を自ら射止めてジビエ料理に
日本の山々に生息する、希少な天然ツルニンジンに魅了された村上シェフ。ガンの予防・治療・回復、慢性肝炎、糖尿病などに効果を発揮する薬草なのだとか。シェフが採取したツルニンジンのお茶やリキュールは、「ル パスポート」に来たら必飲の1杯! 翌朝に違いを実感できるでしょう。
また早朝には、小田原魚市場で最高級の魚を競り落とすそうです。「外国の珍しい魚よりも、相模湾の地魚に勝るものはない」と村上シェフ。銀座の高級店と肩を並べて競り、アカムツ(ノドクロ)、黒アワビなど、東京・銀座では考えられないほどリーズナブルな値段で提供しています。
▲ 一口で驚愕の効果!「天然ツルニンジン」
▲ 早朝の小田原魚市場で競りに参加
村上シェフの料理とおもてなしの原点は、戦後の幼少期に。
小田原に生まれ、戦後食べ物があまりない時代に幼少期を過ごした村上シェフ。当時の遊び場は野原や山で、ガキ大将から野草や木の実で食べられるものを教わり、採取して自ら料理したのだとか。当時の記憶や体験が、料理やおもてなしのベースになっているのです。
「毎年、健康でいること。課題をクリアすること。やればなんでもできる!」と言うシェフ。大自然の恵みと共に、人々に健康と前向きなパワーを与える場所、それが「ル パスポート」です。今までにない驚きと感動を。こだわりの世界への扉を開けてみませんか。
▲「何を作っても膨大な時間と手間がかかるが、それが料理だと思っています」
フランス厨房 Le Passeport(ル パスポート)
神奈川県平塚市八重咲町22-8 笹生ビル1階
[営業時間]
11:30~14:00(L.O.)
17:00~20:00(L.O.)
[定休日]
木曜
[お問い合わせ]
Tel: 0463-23-8118
Facebook: @le.passport.hiratuka
ライター情報
himawari
現役子育て中の翻訳家・ライター。夫、子ども2人、柴犬と湘南で暮らしています。 子育て世代目線で地元ならではのコミュニティやお店の情報を発信中。またスポーツ愛好家・愛犬家としてのライフスタイルも提案していきます。
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