あの焼き芋の味が忘れられなくて。“もう一度食べたい”から生まれた、蜜が溢れ出るトロトロ焼き芋「VASE」

茅ヶ崎市小和田のとある路地にはいると甘い蜜やカラメルのような香りが漂ってきました。よく見ると「髪と日常」という美容室の店先にレンガ色の壺が3つ並び、どうやらこの甘い香りその壺から漂ってきています。

実はこの美容室の店先にある壺の正体は、湘南壺焼き芋「VASE」という焼き芋屋さん。蜜が溢れ出るトロトロの焼き芋が特徴で、おやつ時には売り切れてしまうことも多いのだとか。天然のスイーツとして、幅広い世代から愛される焼き芋店「VASE」のオーナーである山本さんに、こだわりと魅力を聞いてきました。

もともとは都内で仕事をされていた山本さん。ある時「スキムボード」というマリンスポーツに魅せられ、毎週末のように始発で湘南の海に出かけていたそうです。さらに若い頃から自分でビジネスを始めたいという気持ちがあったとのことで、これまでの仕事を辞めて湘南への移住＆起業を決意されます。

“何で起業するか”を模索する中「焼き芋」に辿り着くきっかけとなったのは、今から約10年前。当時、大磯港で行われていたファーマーズマーケット「大磯市」に出店されていた焼き芋との出会いが原体験になっているとのこと。

10年前に食べた、あの焼き芋が今でも忘れられない

今まで見た事がない、壺で焼いた焼き芋。珍しさ半分で食べてみたのですが、ひと口食べたときに、あまりにも美味しくて僕の心に深く印象付けられました。しっとりとした食感ですごく甘い。子供の頃から食べていた焼き芋とは全くの別物です。それから大磯市に行く事が毎月の楽しみになりました。その焼き芋屋さんは、週に2回程度近隣の住宅街でも営業をされているということで、車を走らせて買いにいったり、友達に手土産で渡したり。もう完全に虜になってしまいましたね。

「自分が食べたい」から「皆に食べてもらいたい」へ

今はもうお店をやめられているので、自分の思い出として残っているだけ。でも、どうしてもまた食べたい。コーヒーと焼き芋の美味しさや、夏に食べる冷たい焼き芋の魅力を、友だちにも教えたい、食べてもらいたい、と思うようになって。

焼き芋を食べる瞬間ってたぶん、怒っている時じゃないと思うんですよ。おやつの時間だったり、団らんの時間だったり。ほっこりする時間なんですよね。ゆるくて、でもハッピーな時間を、焼き芋を通じて提供できたら幸せだろうなぁとずっと考えていました。そんな時に、美容室「髪と日常」と出会って、店先で出そうということになり、今に至ります。

“あの味”への探求がスタート

とはいえ、これまで自分で壺を使った焼き芋を焼いた経験はありません。ここから“あの味”を目指した、山本さんの焼き芋の研究がスタートします。

オープンが決まってからは、美味しい焼き芋を焼くために毎日研究していました。品種は“シルクスイート”と“紅はるか”を使っているのですが、甘い黄金の蜜をどれだけ引き出せるかが難しいんですよね。低温で2～3時間かけてじっくりと焼いていくのですが、繊維が残ってしまったり、壺内の温度が思うようにコントロールできなかったり。試行錯誤の末、やっとの思いで満足のいく“あの味”に辿り着くことができたんです。

壺焼き芋専門店「VASE」がついにオープン

2021年冬、晴れてオープンを果たした壺焼き芋専門店「VASE」。山本さんの焼き芋に対する情熱がたっぷり詰まった、蜜が溢れ出るトロトロ焼き芋は、口コミと甘い香りに誘われて、連日売り切れ必至の大人気に。改めて山本さんにやりがいを伺うと、こんな言葉が返ってきました。

焼き芋でつながった地域の人との出会い

お客様が美味しいと喜んでくださるのも嬉しいのですが、地域のつながりを実感できるのが何よりものやりがいですね。近所の子どもたちがお手紙をくれたり、絵を書いてきてくれたり。チラシを作って、これでお客さんをもっと呼ぼうって言ってくれる子までいるんです。初めての経験ばかりで、もっと美味しい焼き芋を届けなきゃ、という気持ちになりますね。

蜜が溢れ出るトロトロ焼き芋を味わいに、ぜひ「VASE」へ

湘南でやりたいことを見つけ、湘南でその夢を叶えた山本さん。やっとの思いで辿り着いた“あの味”が気になる方は、ぜひ山本さんの焼き芋愛がたっぷりと詰まった「VASE」へ。冷やして食べるもよし、トロトロあつあつなうちにバニラアイスをトッピングするもよし。もちろんまずはそのままでいただくもよし。新しい焼き芋スイーツを、あなたも体験してみませんか？