【あの路地を曲がれば。〜雑誌編集者の鵠沼ライフ〜】

<第10回>車を売ってくれない車屋さん

車マニアの兄の影響もあり、女の割には車好きな方です。免許を取って初めての車は、兄のシトロエンAX、バケットシート、MT車。兄に世田谷の急坂に連れて行かれ坂道発進の練習をしたり、夜中に千葉の手賀沼へ兄弟3人でダート走行練習に行ったり。エンストを繰り返し成長しました(笑)。現在は、兄が3万円で購入したオートマ車を40万かけてマニュアルに改造した1996年式のルノー・ルーテシアが愛車です。

  • 兄から譲り受けたルーテシア。自転車もガッティーナで購入。無駄にオシャレなカゴが使いにくい笑

旧車は可愛いながらも、機嫌を損ねることも多々あります。今回は、そんな時に助けてもらう、行きつけの車屋さんのお話です。辻堂・太平台にあるGATTINA(ガッティーナ)は、ヨーロッパの古い車や昭和の国産車をメインに扱う中古車販売と整備の専門店。イタリア語で「メスの子猫」という意味をもつ「ガッティーナ」には、その名の通り、小さくてもよく走る子猫のようなコンパクトカーがずらりと並びます。

  • シトロエンBXブレーク29万円!? ほ、欲しい〜

  • もはや何の店かわかりませんがれっきとした車屋さんです

この日のラインナップは、フィアット・パンダ、シトロエンBX、プジョー405、ルノー・メガーヌ、ホンダ・シティなどなど。ガレージの奥まで珍しい車が連なり、眺めているだけでも楽しい、おもちゃ箱のようなお店。昔の車のオリジナリティ溢れるフォルムやインテリアに惚れ惚れしてしまいます。

店内にはブックカフェ「ニャポリ」を併設し、看板猫のコビがお出迎え。コーヒーをいただける上、雑貨や猫グッズまで並びます。ここで管を巻くのが、ガッティーナ上級者なのでしょうか。ユニークな人たちが集まり、車談義かと思いきや、スイーツ談義をしていたり、知り合いの知り合いだったり、縁が繋がる場なのです。

  • オシャレ自転車やバイクも販売。なぜかメダカと一緒に並んでいます

  • 車と猫の本、雑貨で溢れるカフェ「ニャポリ」。この中に本物のコビも!

  • お客様からの差し入れをおすそ分け。「パンダノカタログ」の上で揺れ動く尻尾がたまりません

今年20周年を迎え、遠方から通うファンも多いガッティーナ。オーナーの酒井さんの人柄あってのことと思うのですが、ご本人曰く「こう見えても僕、人見知りなんですよ」と、意外な一言。「僕が忙しい時は常連さんがお客さんの相手をしてくれたり、お客さん同士が仲良くなることも多いですよ」。ちょっと手がかかるけど味のある車が好き、という嗜好の一致、もしくは「猫好き」で、お客さん同士、気が合うのもよくわかります。

年に数回は、フリーマーケット(車関係なし)やケータリングカーが出店するイベントも開催。車好きは食道楽も多いのか、フードのクオリティも高く、人が人を呼ぶ流れができているような感じがします。

  • 20周年パーティーにはケータリングカーが集結

  • 湘南でも人気店のフードカーやお客さんによるフリマで大盛況

若者の車離れと言われて長いけれども、ここでもやはり「車が売れない」そう。でもガッティーナの場合、別の理由かもしれません。「僕、ひねくれ者だから、“この車いいね〜”と言われると、“壊れるからやめた方がいいですよ”、とか言っちゃうんですよ(笑)」と酒井さん。終いには「車を買いたい人はご遠慮ください、という看板出そうかな?」という、あまのじゃくぶり!

冗談はさておき、酒井さんのところには廃車一歩手前から救い出された名車ならぬ迷車が次々と迷い込んできます。手をかければ、まだまだ息を吹き返すことのできる車たち。それでもまた壊れるから、なかなか売りにくいのでしょうけれど、酒井さんが救った愛しき迷車にピンときたら、直しながら可愛がってあげたいものですね。

あの路地を曲がれば。〜雑誌編集者の鵠沼ライフ〜

鵠沼の自然を感じながら暮らす編集者が、湘南での日々の発見や四季折々の姿を紹介します。

当コラムの執筆者、尾日向さんの発行しているスノーカルチャー誌
『Stuben Magazine』の公式ウェブサイトはこちら:http://stuben.upas.jp

ライター情報

尾日向 梨沙

尾日向 梨沙

編集者。東京都出身、藤沢市鵠沼在住。出版社勤務を経て、現在はフリーランスでウィンタースポーツを専門に取材、執筆。2015年に北海道ニセコの写真家とともにスノーカルチャー誌『Stuben Magazine』を発行。スキーと旅はライフワーク。海、山、森と自然に囲まれて過ごす時間が何よりも好き。

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