【湘南で暮らす人々】

NYから湘南へ。“理想的な生活へのシフト”という選択。【Vol.5 〜「Chigaya bake&coffee shop」鈴木ちがやさん 〜】

小さい頃から湘南で育ち、これまで多くの時間をファッションスタイリストとして海外で過ごしてきた、鈴木ちがやさん。そして今故郷の湘南に戻ってきて小さなパン屋さんを営んでいる。地域の犬連れのおばあさん、近くのカフェのオーナー、小さな女の子を車で寝かしてほっと一息着くお母さん。お客さんが行き交いパンを手に帰っていく人もいれば、少しの時間席に座りコーヒーを飲む人もいる中、なるべく邪魔にならないように話を聞いてみた。

――オープンして1年ですね。最初はどんなきっかけでオープンしましたか?
ちょうど1年前ここの隣にある友達のフランス料理屋に来ました。その時なんとなくここのガレージを覗いたのがきっかけで。シャッターは降りていたのですが鍵は掛かっていなかったので中を覗いてみて、すぐ気に入りオーナーに連絡して契約が決まりました。

――それまではどこに住んでいましたか?
ずっとNYに住んでいました。大体7年ぐらいですかね。大学卒業してすぐNYに渡ってファッションスタイリストの専属アシスタントになり、2年半の経験を経て独立しその後はフリーでやっていました。それまで広告などのお仕事が多かったのですが、私はずっと映画のスタイリストをやりたいと思っていました。でも、映画のスタイリストになるためにはLAに引っ越す必要があるんです。やっぱり映画の中心はLAなので。丁度そんなことを考えている時に一時帰国してここを見つけました。

――決めた時は即決ですか?映画のお仕事に未練はありませんでしたか?
即決です。私決める時はいつも即決なんです。映画の仕事はそのうち自分で趣味で映画撮ってみたりして出来たら良いかな。

――ちがやさんの経歴を教えてください
大学に入った頃はスポーツキャスターになろうと思っていました。ある日大学とは別にアナウンサーの学校に行ったところ私のファッションはアナウンサーに向かないと言われ、それならとアナウンサーの方をやめました。(笑)小さい頃からファッションと映画が大好きで特にイタリアの監督のベルナルド・ベルトルッチが大好き! ウディ・アレンも好きですが、ファッションで言えばゴタールの映画が好きです。古い映画に出てくるファッションが大好きで、大学一年の頃からスタイリストのアシスタントになりました。大学2年生の時、交換留学でLAに行き現地でフリーのアシスタントをしていました。その後大学を卒業してNYに行き語学を勉強しながらアシスタントをしていました。

――今までスタイリストとしてどんなお仕事を手がけてきましたか?
広告の仕事が多かったです。「prada」や「miumiu」などの雑誌広告の仕事もありました。ミニシアター系の映画もあります。

――海外でのお仕事も多いということでしたが今までどちらへ行きましたか? 印象深かった場所はありますか?
ドイツ、スペイン、フランス、デンマーク、イタリア、スウェーデン、オランダ、ベルギー、ベトナム、タイ、モロッコ、チュニジア、メキシコ、台湾、中国……後は忘れました。(笑)ベルギーのカフェが大好きでここを作る時も大工さんにベルギー風にしてくださいって言ったら、うーん……って言ってましたけど。(笑)

――このお店のイメージは?
ファクトリーのような少し無機質な感じです。ベルギーの人たちっておしゃれなカフェっていうだけでわざわざ行かないんですよね。朝、軽く寄ってコーヒーとパンを手に取って行く、生活の一部になっているんです。なのでここも一人でも入り易く、ふらっと入ってパンやコーヒーを手に取れるようなお店にしたいと思っています。

――bakery cafeを経営するのは昔からの夢でしたか?
学生時代、逗子にある「coya」というカフェと雑貨屋さんが一つになったお店でアルバイトしていたんですけど、そこのお店では旦那さんがカフェ、奥さんが子供を見ながら雑貨屋さんと家族で営んでおられて、お店もその家族もすごく素敵で、これが理想の生活だなとずっと憧れていました。40歳か50歳ぐらいからしてみたいと思っていましたが大分早まりました(笑)。

――パン作りはどのように覚えましたか? パンを作る上でこだわりはありますか?
1ヶ月だけ私の好きなパン屋で働きましたがほぼ独学です。好きで昔から作っていたので。素材はこだわっていてなるべく国産のオーガニックなものを使うようにしています。小豆やレモンピールなど作れるものは自分で作っています。それと作る時の気持ちを大切にしています。作っている時、常連さんのお客さんの顔が浮かんでてきて、丁寧に作ろうという気持ちになります。

――ちがやさんのライフスタイルを教えてください
朝4時からパンを作り始め10時にお店を開けます。大体16時ぐらいでパンが売り切れるので、そしたらお店を閉めて、ランニングして、ご飯を作る。大事にしているのは寝る前。次の日早朝から仕事で家からお店まで近いので寝た時のテンションがそのまま次の日に持ち越されちゃうんです。なので、寝る前は好きな写真集や映画などを観て良い気分で寝ることを心掛けています。

――今後のプランはありますか?
お店の裏にある小さなスペースも借りているので雑貨屋さんにしようと思っています。できることは自分でやってペンキはこの前自分で塗りました。パン屋と雑貨屋を両立できたらと思っています。

湘南で暮らす人々

都心から電車で1時間と、遠いようで実は近くにある海辺の街。豊かな自然に囲まれて過ごす人々の表情もまた、おなじように豊かです。

本コラム『湘南で暮らす人々』では、この地で生活を営む人々にフォーカス。「やっぱりこの街が好きだ」というみなさま、そして「いつかはここで……」と憧れを持つみなさまとご一緒に、多彩なライフスタイルを覗いていきたいと思います。


Chigaya bake&coffee shop
神奈川県藤沢市辻堂6-3-10

[営業時間]
月曜 … 10:00〜14:00
木〜日曜 … 10:00〜16:00

[定休日]
火曜、水曜

Facebook: @chigayabakeshop

ライター情報

野口 恵太

野口 恵太

1988年生まれ。湘南在住。フォトグラファー。海外にて広告や雑誌の撮影を手がけ最近日本に帰ってきた。ポートレート、ライフスタイル、フードなどの写真を主に撮りフィルムでの撮影を続けている。
http://keitanoguchi.com/

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