人のために、地球のために。心から良いと思うものを届ける「自然食品の店 かなや」

老舗から新規参入店まで、さまざまな店舗が軒を連ねる由比ヶ浜通り。そんな頼もしい通りで約54年もの間、自然食品の販売を続けている老舗店があります。それが「自然食品の店 かなや」です。

新型コロナウイルスによって生活スタイルが大きく変わっている今、世間では健康志向が高まっている様子。健康とも関わりが深い自然食品を長年取り扱っているかなやは、実は筆者も私生活でかなりお世話になっているお店です。筆者が自然食品に興味を持ったのは、ちょうど自粛生活が始まる直前。摂取する食べ物から健康な身体を作れないかと思い、意識し始めたことがきっかけでした。

かなやでは商品はもちろんのこと、自然と身体の関わりを毎度丁寧に解説してくれるので、初心者でも安心して自然食生活をスタートできます。今回はそんな温かさが魅力のかなやがどんなきっかけで誕生したのか、経営者の1人であるマナミさんにお話を伺いました。

日本にも自然を大切にする心を広めたい

かなやを創設したのは、マナミさんのお爺様。お爺様が自然由来の食事を意識し始めたのは、学生の頃に近所の教会に通っていたことがきっかけだったといいます。

熊本で語学を勉強した後上京したお爺様は、友人の紹介で横須賀の米軍基地に出入りするようになりましたが、なかなか周りと馴染めなかったそう。その時に、コミュニティ作りのため由比ヶ浜の教会へ通うようになりました。そこで学んだ「地球のものをみんなで平等にいただく」という教えに共感し、人々に広めたいと思ったのです。

当時の日本は、戦後の高度経済成長期真っ只中。大量生産・大量消費が根付いて生活が便利になっていく一方、環境汚染による公害が相次ぎ、環境にも身体にも良いものを摂取すべきだという気持ちがお爺様の中でさらに高まりました。

そこでまず始めたことが、豆乳の引き売りでした。今では日常生活に浸透している豆乳ですが、当時は豆乳が珍しく、豆乳が持つ豊富な栄養素も良く知られていない頃。マナミさんのお爺様は「豆乳でも子供は育つ」ことを謳いながら、自然由来のものを使用する大切さを伝えていこうとしました。これがかなやの原点だったといいます。

地元コミュニティを中心に、自分たちができることをする

かなやを訪れるお客様の多くが、地元に住む方々です。お客様と仲睦まじくお話ししているマナミさんご一家を見る度、地元に愛されているお店であることがとてもよく伝わってきます。

「お店に来てくれる人は、自然食品に少しでも興味がある方々です。このようなちょっと興味がある、という人を増やしたら何かが変わるかもしれないですよね。“食の選択”としてでなく、環境や自分の身体にとって良い循環をつくる手段として、自然食品(または自然商品)を意識してもらえるように心がけています。」

豆乳の引き売りから始まったかなやですが、現在はさまざまな自然由来の食品や生活用品を取り揃えています。化学肥料・農薬不使用の野菜や果物はもちろん、ヴィーガン・ベジタリアン向けの大豆製品やグルテンフリーの麺類、さらに環境に優しい洗剤といった、「それも自然由来なの?!」と思わず口にしてしまうものを多く見つけることができます。

今マナミさんが一押しなのは、Birds(バード)という洗剤。驚いたことに、この洗剤は一つで衣・食・住すべてにおける洗浄に使える、まさに魔法の一品なのです。天然由来成分で作られているので、使うだけで環境保護にも繋がります。普段私たちが使っているほとんどの洗剤には、自然に還ることができない石油由来の界面活性剤が含まれており、これらが川や海を汚染し、生き物の生態系を壊しているのだそう。改めて、持続可能な資源を選ぶことの大切さを思い知るきっかけになりました。

  • 種類豊富な有機パスタ。オーガニックフード初心者でも、炭水化物を有機食材に置き換えるだけなら取り入れやすいですね。

  • 緑のボトルが、マナミさん一推しのBirds(バード)。天然由来の洗剤は、他にも用途別に取り揃えてあります。

時代が変わっても、変わらず「安心できるお店」であり続ける

エコ、オーガニック、無添加、国産…あたかも健康を象徴するような言葉が飛び交う時代になりましたが、本当の意味で「良いもの」を理解している人はどのくらいいるのでしょうか。言葉が先走り、惑わせる商品も増える中、マナミさんはどんな時も「安心できる店」であり続けたいといいます。

「小売店の良いところは、直接生産者さんと繋がりがあるところです。本当にいいと思うものを直接仕入れ、その魅力を伝えて、生産者さんたちにもお客様にも気持ちよく生活してもらいたい。そして“かなやに来れば安心”とお客様に思っていただけるように、これからも正確で役に立つ情報と商品を届けていきたいです。」

現在かなやのLINEアカウントで配信しているおすすめ商品の情報に加えて、「水(水害・汚染)」に関するフリーペーパーも作りたいというマナミさん。自分が取り組みやすいと思うこと、取り組んでよかったと思うことなど、時代を越えても尚伝え続けられることを積極的に発信して行きたいといいます。

取り扱う商品に関しても、時代の傾向に合わせてラインアップを少しずつ変えています。最近では、アジア料理に関する調味料などを仕入れたところ、年齢の若いお客様も増えてきたそう。自然に優しく、ちょっと使い勝手が良くて、「その時代に生きる人がいいと思うもの」をテーマに、商品を入れ替えている最中だといいます。

  • 入荷して早速注目を浴びているスパイスの数々。

  • 我が家でも使用している量り売り洗剤。初めに容器で購入すれば、その後お得な値段で補給することができます。

「お客様に良いものを届けたい」―その誠実な心が、50年以上もの間地元の方々に愛され続けてきたゆえんだと、マナミさんの言葉から強く伝わってきました。これからもかなやの一ファンとして、かなやのメッセージを信じ、暮らしを見つめ直していこうと思います。

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