旅で巡り合ったワクワクをカタチに。美味しいもの好きな店主のパン屋さん「エリぱんの旅するバインミー」

シックなピンク色の外壁がアクセサリーショップのようにも見える「エリぱんの旅するバインミー」。看板商品のバインミーのほか酵母菌を使った焼きたてのパンやマフィンが、ベトナムの食器などの小物類と一緒に並ぶかわいいお店です。
 
店名の「旅する」というワードにもお店の想いがありそうですね。どんなお店なのか、店主の有我エリさんにお話を伺いました。
  • パンの製造から接客まで一人でこなす店主の有我エリさん 

フットワークの良さからはじまったパン職人の道

結婚を機に鎌倉へ移住した有我さんは、「まさか住みたいと思っていた鎌倉の地で、自分のお店を持つことになるとは想像していませんでした」と振り返ります。

どちらかというと作るよりは美味しいものを食べることが好きだったという有我さん。特にパンに関しては国内外問わず旅行するたびに食べ歩くほどだったのだとか。

そのフットワークの軽さは、パン職人の養成コースに通うため、フランスのアルザス地方へ留学までしてしまうほど。この留学をきかっけにパンを仕事にする決意が固まったといいます。

帰国後は横浜や鎌倉のベーカリーに勤務する傍ら、自分で焼いたパンをお祭りなど各地のイベントに出店して販売するなど活動の場所を広げていきました。

  • 鎌倉の御成通りから1本入った静かなエリアにあるお店

  • 鎌倉在住のイラストレーター小竹香織さんがデザインした看板

旅先で出合ったバインミーをお店の看板商品に

有我さんは、鎌倉の大町にあるマフィン屋さんで店主となり経営を行うようになります。そこでさまざまな経験を積み、自身のお店をオープンすることに。

「エリぱんの旅するバインミー」の看板商品は、店名にもあるベトナムのソウルフード「バインミー」です。

有我さんは、ベトナムに旅行した時に屋台で食べたバインミーの美味しさに魅了され、自身でも作りたい! と思ったのだそうです。

ベトナムのバインミーはやや乾燥気味のパンに焼き豚やなます、パクチーなどの香草をたっぷりと挟んだもの。パリッとしたシュー皮のような独特の食感と旨味を感じるパンは日本では出合ったことがなかったものだったと有我さん。帰国後、さっそく試作に取り組んだものの、再現できない日々が続いたそうです。

  • 本場のおいしさを日本人の味覚に合うように開発したオリジナルのバインミー

お客さんの言葉から誕生したオリジナルバインミー

そんなある日、サンドイッチに使用していたパン生地がモチモチして美味しいと、お客さんに言われたことをきっかけに、今あるものを活かそうと視点を変えたという有我さん。

この時、ベトナムの調味料で味付けした焼き豚と生野菜、ニンジンとダイコンのなます、パクチーをもっちりとした歯ごたえのパンで挟んだオリジナルのバインミーが誕生します。

現在お店に並ぶバインミーは、厚揚げや鶏肉を具材にしたものなど4種類ですが、最近、とある生産者との出会いがあり、その食材を具材にしたバインミーも考えているとのこと。

有我さんは「これから種類を増やしていきたいです!」と楽しげに話します。

そして、店名にある「旅するバインミー」は、バインミーをバッグに入れて持ち歩いて好きな場所で食べてもらいたいという思いからつけられたものなのだそう。旅先での食べ歩きのように楽しい体験を提供したいという有我さんの想いが伝わります。            

  • 注文を受けてから作り、出来立てを提供。パンのもっちり感と野菜のシャキシャキ感が楽しめる    

旅するように楽しむ各国のパン

さらに、こちらの店舗ではバインミーの他にも、世界を旅した有我さんお気に入りのパンが並びます。

自然の酵母を使って発酵させた食パンをはじめ、北欧風の「シナモンロール」やブドウとクルミの入ったフランスのパン「ノアレザン」、オリジナルのスパイスを配合した自家製キーマカレーの「焼きカレーパン」、さらにマフィンやキャロットケーキなど、各国の美味しいものが一同に会しているのです。

さらに、お店の棚には、フランスやベトナムの小物、旅行ガイドブックなどが置かれており、店内で旅をするようにさまざまなパンとの出合いを楽しめます。

日々の買い物が、こんな素敵な体験になってしまう「エリぱんの旅するバインミー」。これからも有我さんのお眼鏡にかなったもの、そして各国のおいしいパンがお店の棚に増え、旅のワクワクはさらに広がっていきそうです。

  • 旅行ガイドブックやフランス、ベトナムの小物と一緒に朝焼きのパンが並ぶ

  • フランス・アルザス地方で使われているクグロフの型(非売品)

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