最大100店が参加する「SunSunマルシェ」が“平塚らしい”と思う理由

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平塚市にある「湘南海岸公園」は、スポーツを楽しむ場として市民に愛されている公園ですが、屋外市営プールにフットサルコートといった施設でスポーツ愛好家が汗を流す一方で、バスケットゴールのある広大なグラウンドと芝生広場では、ファミリーで遊ぶ光景が日常的に見られる公園でもあります。そんな穏やかな日常に、非日常の空間を加え続けているのが、毎月第2日曜日に開催している市場「SunSun(サンサン)マルシェ」です。

地元の生産者や飲食店、クラフトを趣味とする人たちが集まって、季節ごとのイベント企画なども行われています。月1開催とはいえ、2011年3月からはじまった小さなマルシェは、穏やかな変化を積み重ね、今や平均70店が集まる大きなマルシェへと成長。地域を代表するイベントが生まれたきっかけは、一体何だったのでしょう。リフォームの相談からお料理教室・木工女子教室といったアットホームなイベントを定期的に開催しているインテリアショップ「alberi +R HOME(アルベリ アール ホーム)」を営む実行委員会の中村幸子さんにお話を伺いました。

SunSunマルシェの“Sun”は、散策と散歩のサン

「SunSunマルシェの“Sun”は、散策と散歩のサンから付けた名前なんです。はじめたきっかけは、平塚の南側が少しでも活性化すればいいなぁって。駅の南口を出て海岸まで歩くような人はまだまだ少ないですから、平塚の南側を歩いて楽しんでもらえるような地域イベントになればいいなぁと思ってはじまったんです」

スタートは2011年の3月。約10店が南口のダイニングバー「モトロッソ」(現H×M)の前で集まり、開催した小さなマルシェだった。SunSunマルシェの実行委員会は、立ち上げからメンバーもほぼ変わらず、現在は12人のチームで運営している。

「もともと“色々なことをやってみよう”から集まっているメンバーなので、上も下もなくフラットなんです。和菓子屋さんに自転車屋さん、レストラン・農家・福祉施設…と、特技もタイプも違いますから、学生時代に同級生だったら交流していなかったんじゃないかなぁ(笑)。自分のお店だけにいると、どこか閉じこもっちゃうところもあるので、趣味嗜好の違うメンバーと一緒にいるのは楽しいですよ」

10店ほどの集まりから、今や平均70店が出店する一大イベントに

スタートした時のテーマは「ラボ」。実験室とのネーミング通り、色々なことをやっていこうと集まった。2015年頃から現在へと続く、湘南海岸公園での開催に場所を移したのも、何かをしたい人たちに場を提供する上で、自然の流れだったそうだ。

「自分のお店を持たないハンドメイドやクラフトの作家さんたちが何かをやろうとした時って、フリーマーケットくらいしか当時はなかったんです。だから、マルシェならできるから一緒にやってみない? と声をかけていくうちに広い湘南海岸公園での開催に場所を移すように動いていきましたね」

規模は大きくなっても、平塚の良さを伝える身近な存在でありたい

南側を盛り上げようというスタートから、湘南海岸公園のトイレ清掃や授乳スペース確保などをイベントの運営に取り入れ、過去には最高で100店が参加、2000人以上が訪れる一大イベントまでに成長。ラグビーにテニス、かけっこ教室といったスポーツの無料体験を催したり、会場の公園から海に出て、実物大のイルカを砂で作るサンドアートといったユニークな企画も手がけたり、地域のお祭りや地元大学での特別開催を行うこともある。平均70店が参加するまでに成長を積み上げてきた中、これからの目標も徐々に生まれてきているそうだ。

「第一は平塚の良さをもっと知ってもらうことです。欲張っても続かないし、リピーターの方が多いですから、地元の方でも学生でも、一般の方が気軽に参加できるマルシェにしていきたいです。

何かやりたいという声が集まる流れを作りたいこともあって、ミュージックフェスを8月に今、計画しているところです。地元のラジオ局も全面協力ですから、音楽が常に流れているような空間を作れたら最高ですね。演奏する方もプロの方ではなくて、ご近所でピアノを習っている方や、音楽を趣味でやられている方にやっていただけたら」

SunSunマルシェは、“今”の平塚を体現しているイベント

SunSunマルシェは、お子さんと一緒の出店も、友人との共同出店もOK。こうした出店のハードルは、他のイベントよりもかなり低い。また、四里四方(16キロ圏内)の方が優先というルールも相まって、平塚・湘南の人がやっていることを強く感じる。参加型の地域イベントが、街の風土にハマっているのだろう。

マルシェに何度か行くようになると、出店者と参加者の区別が段々とつかなくなっていく。馴染みのお店にいくような感覚でマルシェに行き、生活とは違う出会いの中で、新しいコミュニティに自然と加わっている。七夕まつりが長年続いているように、歴史を大事にする一方で新しいコミュニティも生まれている街、平塚。SunSunマルシェは、こうした平塚のルックスも感じられる。マルシェに流れる穏やかな空気感そのものが、何とも平塚らしいと思う。

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