鵠沼海岸で噂のバー「mintal(ミンタル)」。ドアを開いたその先には…

Hilo Homemade Ice Cream」と同じ鵠沼海岸5丁目にある「mintal(ミンタル)」。昼間は閉まっていて、夜になると灯りが点くこのお店は、この辺りに住む人々の注目を密かに集めています。

そのドアを開くのに、なかなか勇気が出ない方もいらっしゃるのでは。筆者も常々気にしていながら、なかなか一歩を踏み出せなかったひとりです。ただ、思い切って扉を開けたその先には、いかにも湘南らしいユルさと、バーならではの落ち着きが広がる空間が待っていました。

ひっそりと佇むバー。あまり語られない店名の由来とは…

「mintal」がオープンしたのは2010年11月。名前の由来はオーナーである五十鈴(いすず)さんの地元・北海道の言葉で、「人々のつながり」「会う」「交わる」または「広場」など、多くの意味を持ったものから来ています。お店を開く前、たまたま知り合ったネイティブ・アメリカンの方と話をしていて思い出した言葉で、響きが良かったので店名にしたとのこと。

mintalという言葉が持つ意味の通り、このお店は人々のつながり、交わりに溢れています。たとえば、ご近所さんがお店でたまたま居合わせることはよくあることで、お客さんがフラッとお店に立ち寄ってはお酒をちょっとだけ飲んでいく、なんてことも日常的だそう。実際、筆者が取材に訪れたこの日も、そうしたお客さんが数人いらしていました。

このお店のメニューは基本的に日替わり。ただ、常連さんのための料理が半ば定番化しているそうです。この日はその“準レギュラーメニュー”のうちのひとつである「タコス」をいただきました。ほかには「タンドリーチキン」や「カレー」といった品々が定期的にメニューとして出されるそう。

なお、料理によってはテイクアウトも承っているとのこと。サーファーが多い地域柄、翌朝のサーフィン前に食べるひと品として持ち帰るお客さんが多いようです。

飲み物はビールをいただきましたが、その他にも各種カクテルなどアルコール類が用意されています。ちなみに、お店で出される焼酎は五十鈴さんが旅先で仕入れてくるもの。お店の休みを利用して様々なところに出掛ける五十鈴さんの小話を肴に焼酎を1杯……というのも、乙な過ごし方かもしれませんね。

旅先や海で出会う人々とのつながり、そしてハンドメイドなお店の生い立ち。

旅好きな五十鈴さんは、「何も知らないところで不安になる感じが好き」といいます。非日常を求めてはあらゆる場所を訪れ、気付けばいつの日かまた戻ってくるという日々を過ごしています。これまでハワイ、オーストラリアなどをはじめ、日本のあらゆるところにも足を運び、旅した先々で知り合ったお友達がしばしばお店を訪ねてくるそう。

そして、旅先のハワイで始めたサーフィンは、いまや五十鈴さんのライフスタイルにおいて欠かせないものとなっています。mintalのドアを開くお客さんの多くは海で知り合った人々で、海で知り合いを見つけてはちょっかいを出してみたり、イタズラしたりしているそう。「お店では、お客さんというよりも友達のような感覚で迎えていますね」と五十鈴さんは話しています。

湘南に移住して長い五十鈴さんが挙げるこの街の良さは、「バランス」にあるといいます。海が近くにあって、そのことがカルチャーとして根付いている環境でありながら、少し足を伸ばせば都心へも向かえるアクセスの良さがポイント、とのこと。

また、オープンな雰囲気が心地良いとも話してくださいました。mintalを開くことにしたのは海で知り合った人との会話がきっかけで、いざオープンさせようとなると、物件探しから改装工事、そして仕入れ先の手配に至るまで、あらゆる人々に協力してもらったといいます。

お店になる前は倉庫だったというこの場所に手作り感が溢れているのは、そうした人々のつながりの結晶なのです。

地元の人々がふらりとやってきて、お酒と会話を嗜んだら、それぞれ気が向いた頃に家路へ就く。こうしたユルいムードこそがmintalのウリであり、原点なのかもしれません。ドアを開くはじめの一歩はちょっぴり勇気がいるかもしれませんが、いったん開けてしまえばそのゆったりとした雰囲気の虜になるはず。

「今夜は晩酌したいな、でもちょっと趣向を変えてみたい……」そう思った時こそ、mintalへと足を向けてみてはいかがでしょう。

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