お店に来れないのなら、届ければいい! チャルメラを響かせ、バイクでラーメンをお届け~「RAMEN渦雷」

雑誌やWEBなどにおけるラーメンランキングで常に上位にランキングし、「大西芳実店長の常に進化を続けるラーメンは絶品」との評判の声が高い、辻堂にある「RAMEN渦雷」。いつもは多くのお客さんで賑わう人気店ですが、こちらのお店も多くの飲食店と同様、新型コロナウイルス感染拡大の影響に悩まされます。

数々の取り組みを行うなか、大西さんが考えた意外な方法、それは過去と現在のクロスオーバーから生まれた画期的なラーメンの販売方法でした。

テイクアウトや自宅調理セットの販売にとどまらず…

当初はラーメンや丼ご飯のテイクアウト販売や自宅でラーメンが調理できるセットを販売していた大西さん。以前より売り上げは落ちたものの、多くの常連客やファンに支えられ、何とかお店を維持していました。実際にお店に行くと、ランチタイムには次々とお客さんが来店し、テイクアウトラーメンや自宅で調理セットを購入していきます。

けれども大西さんはこうした状況に妥協することなく、さらに次なる一手を考えます。その名も「チャルメラ魂(ソウル)」。おみやげラーメンの移動販売です。「ラーメンが食べたいけど気軽に外出できない。また、仕事や時間の都合でテイクアウトラーメンの購入もできないお客さんがいる……それなら、こちらから届ければいいのでは?」と思い立ったのです。

  • テイクアウト用のラーメンを調理する大西さん

  • 日替わりで変わるテイクアウトメニュー

  • この日は煮込みソーキご飯も

懐かしのチャルメラを今風、かつ“どろくさく”…

子どもの頃、夕暮れ時にラーメンの移動販売である“チャルメラ”の音が聞こえると、心をときめかせたものです。そうした先人が残した財産とも言えるコンテンツを利用して、今の時代にマッチするスタイルにアレンジしてできないか。けれども決して今風になり過ぎない、いわば“どろくさいスタイル”で……。そうして大西さんが出した答えが、バイクを利用した移動販売でした。

  • ライトの下のスピーカーからチャルメラが流れる

チャルメラ音色に大人も子供も吸い寄せられ、皆の笑顔が広がる

スクーターにお土産ラーメンを収納するボックス型の荷台を取り付け、本日お届け予定のラーメンをセット。そしてハンドルの脇には黄色い提灯を下げ、スピーカーからは「♪チャラリ~、ララ。チャ~ラ、ララララ~」というあの懐かしいラッパのよるチャルメラの音色。続いて、そのメロディーに乗せて「うずら~いの、な~まラーメン~」との自作ソングが響きます。お店を出ていざお客様のもとへ出発。その途中、信号待ちでバイクが止まるたびに、周囲の通行人や車を運転する方が興味深そうに眺めます。

オーダーが入ったお宅に到着すると、この日は周りのお宅と一緒にまとめて注文されたようで、チャルメラソングに誘われるかのように、次々とバイクの周りに人が集まります。光る提灯をもの珍し気に眺めて、大人も子どもも一様に楽しそうな表情を浮かべています。

  • 街中を走るバイクは、注目の的

  • 多くのお客さんが、待望のラーメンをお待ちかね

「人が笑ってくれるのが、第一なんです」

自然と大西さんの周りに広がる笑顔の輪。「こうした笑顔が見たいだけなんです。周りの方も自分自身も楽しいのが一番。人が指をさして『何だアレ?(笑)』って笑っているくらいがちょうどいいんですよ」と、大西さんはひたすら自らが楽しむこと、エンターテインメントに徹しているのです。

チャルメラを知る方は懐かしさを感じていただけると同時に、チャルメラを知らない若い方には新鮮に映ることでしょう。そうした“古くて新しい”ラーメン文化を残すことも、意義があるのではないでしょうか。

さらに、チャルメラソウルは店舗近隣の方のみの販売となってしまうため、都内など遠方の方でもお店の味が楽しめるようにと、新たにラーメンの通信販売ショップ「神鳴商店」を開始。毎週月曜日の9:00~12:00にwebで注文受付の限定販売にも関わらず、たちまち売り切れになるほど人気を博しています。

「コロナは多くの災いをもたらすと同時に、“この機会だからこそ実現できたこと、新たに気づかせてくれたこと”もありました」と大西さん。

「今回の騒動をきっかけに『チャルメラソウル』と『神鳴商店』という2つの取り組みが新たにできました。また、今までは1日200杯近くラーメンを調理していましたが、今回のコロナ騒動を受けてお店の営業を自粛することになり、ラーメンを調理して回数がぐっとが減りました。そうした影響なのか、『自分のラーメンは本当にこれでいいのだろうか!?』と疑念を抱き、ラーメンに対する自信を失いかけたこともありました。やはり毎日お客様とラーメンに向き合うことの大切さを改めて思い知らされました」。

  • ラーメンと真剣に対峙する大西さん

「ピンチをチャンスに変える」のに必要なこととは

新型コロナウイルスはかつてない危機的状況を私たちにも飲食店にも、もたらしました。しかし、大西さんは決して店の利益を追いかけず、「みんなが何を求めているか」を突き詰め、そして「自分もみんなも楽しんでほしい」というサービス精神のもと、新たなビジネスを展開し今後の可能性を広げました。

“ピンチはチャンス”。誰もが口にする言葉ではありますが、実際にピンチをチャンスに変えるのはそう容易くありません。しかし、自らの仕事への強い思いと信念さえあれば、実現できる。大西さんの取り組みは、そんなことを証明してくれているかのようでした。

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