湘南で暮らす人々

心が動いた瞬間をみんなと共有したい~フォトグラファー・髙橋創平さんが写真を撮る理由

美しい海と夕日を背に、波に乗るサーファーたちの写真。なんとも気持ちよさそうで、ゆったりと流れる時間とともに人々の喜びを感じます。この写真を撮影したのが、湘南を拠点に活動する鎌倉生まれのフォトグラファー・髙橋創平さん。

髙橋さんは各地を旅し、そこで出会った風景や人々を撮影しています。また、近年は「家族」の写真を撮影することにも情熱を注いでいるとのこと。なぜ旅をして写真を撮り続けているのか、そして、なぜ「家族」の写真を撮影したいと思うようになったのか、髙橋さんにうかがいしました。

  • 夕焼けに染まる海とサーフィンを楽しむ人々(オーストラリア・ヌーサ)

興味のきっかけはおじいちゃんがくれたフィルムカメラ

アマチュアのカメラマンとしてコンペティションで受賞歴もあったというおじいさまの影響もあり、幼い時からカメラが好きだったという髙橋さん。そのおじいさまから譲り受けた日本光学(現ニコン)のフィルム一眼レフカメラが、髙橋さんが初めて手にしたカメラだったそうです。それが高校生の頃。それから写真を撮ることの楽しさにのめり込んでいきます。

  • 今も大事にしているおじいさまからもらったNikomatのカメラ

旅と写真、髙橋さんの原点となったロタ島

今の作品につながるきっかけとなったのが、20歳の頃に3カ月滞在したロタ島での経験だといいます。ロタ島は北マリアナ諸島の小さな島で、豊かな自然と高い透明度を誇る美しい海が広がっています。そこで、髙橋さんは時間とともに表情を変える自然の魅力を改めて感じたそうです。

「ロタ島での日々の暮らしのなかで、自然の壮大さや美しさにハッとさせられたんです。その時の感動をみんなと共有したいと、持参した大量のフィルムで写真を撮っていました」と髙橋さん。この想いが髙橋さんの写真の原点となります。

  • フィルムカメラで撮影したロタ島での写真。美しい自然と人々の笑顔で溢れている

旅で感じた日常の中にある美しさ

それから、「自分の知らない世界、そこで暮らす人々と出会いたい」「そのときの感動を写真を通して人々に伝えたい」とカメラを手に各国を旅するようになります。今まで髙橋さんが旅してきた国はタイ、ネパール、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、スペイン、ベトナム…など。

ニュージーランドには約1年半滞在し、現地で車を購入、カメラとサーフボードとテントを手に各地を旅したそうです。「波が良ければサーフィン、山があればトレッキングなどして、行く先々で最高のシーンに出合った時に撮影をするという日々でした」と髙橋さん。お金が底を尽きたら、現地で畑仕事をしたり、飲食店で働いたり。

この旅でのシンプルな暮らしが、自身の価値観を広げたといいます。「日々出会うもの、人にこそ、大切なものがある。そのことに本当の意味で気付くことができました」

  • 日常の中にある喜び・幸せを写真におさめる(オーストラリア・バイロンベイ)

  • 暮らしの中にある海と家族の微笑ましい瞬間(オーストラリア・バイロンベイ)

感動を独り占めするのはもったいない

撮影をするうえで大切にしていることをたずねると、「自分がぐっときた瞬間をカメラにおさめることですかね。感動したその瞬間を独り占めするのはもったいない(笑)。その時の空気感も含めて撮影することで、見た人がその場にいるように感じて、癒されるような写真になったらいいなって思うんです」と髙橋さん。

写真に映し出される「流れる時間」と「感情」の正体はここにあったのです。

  • 狙いすぎず、心が動いた瞬間を撮影する

家族写真の大切さに気付き、人物を撮りたいと思うように

旅先での撮影をライフワークにしている髙橋さんですが、現在は「家族写真」の撮影にも力を注いでいます。以前は風景撮影がメインで、人物撮影はどちらかというと苦手だったという髙橋さん。お父さまが亡くなった際に、お父さまの写真や大人になってからの家族での写真があまりないことに気が付いたといいます。

「遺影写真を探してて、自分はフォトグラファーなのに父親を撮ってあげたことがなかったと気付いたんです。そのことをすごく後悔しました。家族の日常の写真って、後から見返してその大切さに気付くんですよね」

こうした想いから、現在、髙橋さんはお客様の自宅玄関先へ出向いて家族写真を撮影する『Front Steps Project』という活動をしています。これは、コロナ禍で外出ができないという状況で、何かできないかとアメリカに住むフォトグラファーの間で広がっていた運動です。髙橋さんは、家族が一緒にいる今だからこそ、家族の写真を撮ろうとこの活動を始めたのです。

  • 『Front Steps Project』で撮影した家族の写真

「玄関って出かけるときや帰ってくるときに家族が声をかけたりする大切な場所ですよね。そこで、飾らない普段着の家族を撮るっていいなって思ったんです」と髙橋さん。写真に写っている家族はみんなとても楽しそうな笑顔を見せています。髙橋さんの想いと温かな人柄が、家族の自然な表情を引き出しているのでしょう。

生活の場、普段通りの姿での写真は、家族の日常のやりとりまで思い出させてくれるような気がします。それは、家族にとっての宝物となるはずです。

  • 生活の場だからこその自然な空気感

人の想いをつなぐ写真を撮っていきたい

今後について髙橋さんは、旅先での作品撮影だけでなく、家族写真、ウェディング、遺影など、その人が過ごす今という大切な時間を伝える写真をもっと撮影していきたいと話します。そのために、現在、生まれ育った七里ガ浜にフォトスタジオを作る計画が進行中だそうです。

取材を通して感じたのは、髙橋さんの写真には「見ている人に幸せを感じてほしい」という想いが溢れているということ。そんな髙橋さんは、これからも、温かく心地よい写真を多くの人に届けていくことでしょう。

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