DIYの聖地=藤沢!? 湘南DIYの発信基地「Bis&Ket」

自宅での生活を余儀なくされたSTAY HOME期間中に、DIYの魅力に目覚めたという人も多いと聞きます。そんなDIYをより親しみやすくしてくれるようなお店が藤沢・片瀬にあるのをご存じでしょうか。オープンして約1年ながら、しっかりと地元民から愛されているショップ「Bis&Ket」をご紹介いたします。

機能的なモノだけでなく、“見た目がカッコいいもの、変なモノ”も独自にセレクト

店内にはフックやビスなどのさまざまな金具や電動ドライバーなどのDIY工具、そして板切れなどの木材やステンドグラスのパーツなど、多種多様なアイテムがところ狭しと並んでいます。あまり目にしたこともないアイテムもちらほらとあり、DIY好きにとっては、宝探しをするかのような楽しい気分になりそうな雰囲気です。

「基本的には誰でもが使いやすく、手に入りやすいもの。そしてDIYを行ううえで最低限必要なモノ、あったら便利なものを揃えています。けれどもそうした機能的なものだけでなく、“見た目がカッコいいもの、変なモノ”も独自のセレクトで揃えています」と店長の中野さん。

  • オシャレなフックなどの金具

  • 作家の手づくりのカッコいいS字フックも

学生時代は化石発掘にいそしむ日々が、いつしか…

島根にある大学・大学院で、地質学を学びサメの化石の発掘に精を出すなど、DIYとは無縁の暮らしをしていたという中野さん。しかし学校を卒業しても、地質学を活かせるような学芸員の仕事は数も少ないためなかなか見つからなかったそう。

「そんな時、親戚の叔父さんが作ったログハウスを見てDIYに興味を持ったのです。そしてあるDIY雑誌を読んで巻末を見ると、“編集スタッフ募集”との記載があったので、連絡したところ就職が決まったんです」

それから約8年間、編集者としてDIY関係の雑誌づくりに携わった中野さん。さまざまログハウスを取材、DIY特集を企画するなどDIYに親しみながら雑誌の編集長にまでなりましたが、次第に「自分も何かを作ってみたい」と考えるようになりました。

中野さんは思い切って出版社を辞めて、職業訓練学校でモノづくりの基礎を学びます。しかし、実際にモノづくりを経験してみると「作る仕事はそう簡単なことではない」とその奥深さを実感したそう。そこで「作るためにはまず、その道具を知ろう。道具を知れば作るためのアイデアがより広がるのではないか」と中野さんは考えたのです。

  • トナカイがモチーフのフックも

  • ステンドグラスは犬の首輪につける人も多いそう

雑誌編集者から、金物屋さんに転職

中野さんはプロの職人が使う道具がそろった金物屋さんに就職し、プロが使用するさまざまな金物や道具の知識を身に着けていきます。それらに理解を深めた中野さんは、休みの日を使ってさまざまなものを自分で作るようになり、“作るよろこび”を再確認。やがて「さまざまにあるDIYの道具や金物の中から、本当に使いやすいものをセレクトして販売するショップがあってもいいのではないか? そして、もっと“作るよろこび”を皆に知ってもらいたい」との考えに至りました。

そして8年もの金物屋勤めを経て、いよいよ自分の店をオープンすることになったのですが、なぜ藤沢・片瀬を選んだのでしょうか。そこには意外な事実がありました。

  • インパクトドライバーのレンタルは500円

藤沢はDIY熱が高いエリア!?

当初は鎌倉あたりを考えていた中野さんでしたが、やはり鎌倉はテナント料金も高くなかなか手頃な物件がなかったそう。

「そこで“暮らしを楽しんでいる人が住んでいる場所”と対象を広げて探すことにしました。暮らしを楽しむ=家にいる時間が長い=家でのDIYを楽しむ人が多い?と考えたのです。そこで候補となったのが逗子、葉山、藤沢でした」

「そんな時、DIY好きなら誰もが行ったことがある東急ハンズの一号店は、藤沢に存在したということを思い出したのです。さらに有名なログハウスメーカーのBESSの展示場も同じく藤沢にある。こうした大企業は当然マーケティングも行ったうえで、お店をオープンさせているので、藤沢にはそうした“DIY需要”があるのではないかと踏んだのです」

モノ作りには下準備が大事と言われますが、こうした綿密な下調べや将来への見通しはDIYにも通じる何かを感じさせます。そうした過程を経て、満を持して藤沢・片瀬にお店をオープンさせたのです。

  • 店名となったビスケットは木と木をつなぐアイテム

  • 中野さんがスケッチしたお店のキャラクターロゴ

小学生からご年配まで、地元の方に愛される場に

実際にオープンしてみると、藤沢のDIY熱は想像以上に高く、「東急ハンズがなくなって寂しかった」というベテランのお客様も多く来店され、さらに小学生の子供が週一回のペースでやってきて、友達と一緒にモノづくりを楽しむこともあるそう。実際、今回の取材中にも近所の小学生が来店。何でも木で作った日本刀の柄に使う真鍮を探しに来たとのこと。これまでに合計3本の刀を製作しているようで、それらの材料集めなど、事あるごとに来店して中野さんに色々と相談しているといいます。

ほかにも、台湾で仕入れたブルーシートを地元の方がバッグに仕立てて販売したり、中野さんのスケッチを近所に住むイラストレーターがイラストに起こし、Tシャツにデザインして販売するなど、「Bis&Ket」には地元の人々に愛されていることを示すエピソードには事欠きません。

  • 常連のお客さん、亜里くん

  • 木を削って製作した自慢の日本刀

  • 近所の方のコラボから生まれたバッグやTシャツも

  • サメの化石発掘をしていた名残はここにも

無限の可能性を秘めたDIYに気軽に親しんでほしい

「道具を販売したり、工具をレンタルしたりと、DIYのお手伝いをするのが目的ですが、人によってできることできないことは異なります。例えば、色を塗り直すだけでも立派なDIY。その人のレベルに合わせて、DIY(=モノづくり)の楽しさを伝えられればと考えています。DIYへのハードルを下げることが、このお店の一番の役割です」

「ほかにも『裏側のふたを開けずに、上から差し込むだけで写真や絵が変えられる額縁をできないか』というお客様の相談を受けて製作していたりと、今までになかったものを、自分のアイデア次第で生み出していくのもDIYの楽しさ。お客様と一緒になって、DIYを積極的に楽しみたいですね」

  • 上から差し込むだけで絵や写真を変えられる額縁

家で過ごす時間が増えたことでDIYの楽しさを知った方も多いと思いますが、知れば知るほど作れるモノが広がり、今まで以上に作るよろこびを楽しめるDIY。既製品をお店で買うよりも安く、しかも手づくりだけに愛着も深まるなどDIYの楽しみは無限に広がります。DIY好きも、DIYにちょっと興味が沸いた方に、ぜひとも行ってみていただきたいお店「Bis&Ket」。その扉を開けば、新しい楽しみとの出会いがきっと待ち受けているはずです。

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