犬のための整体。飼い主さんとさいごまで幸せな暮らしを「犬の整体研究所」

大切な家族の一員であるペットには、歳をとっても大好きなお散歩ができるカラダでいてほしい。「犬の整体研究所」は、老いて体の弱った犬や生まれつき骨に異常を持った犬など、こうした犬の筋肉をほぐして動きやすいカラダを目指す、いつまでも動けるカラダを維持するための施術を行なう“犬の整体院”です。

施術だけでなく、飼い主さんが自宅でケアできるよう、揉み方やストレッチの方法をレクチャーしているという「犬の整体研究所」。今回は、代表で整体師の小林さんにお話を伺いました。

施術は基本的に、犬と飼い主さんが暮らす家へ出張しておこなっています。知らない場所に行くと犬の緊張や警戒を招いてしまいますし、高齢の犬にとっては移動自体が負担になります。犬が一番リラックスした状態で施術をするために、出張という形を取っています。

病院ではないからこそ、犬にしてあげられること

高齢になったりケガをして、歩けなくなってしまった、立てなくなってしまった、躓くようになってしまった、フラフラしてしまう、といった犬の飼い主さんからの依頼があります。また、生まれつき骨に異常があったり、お父さん犬やお母さん犬に歩けなくなる病気があった犬が、予防の目的で施術を受けます。

人間の場合は、理学療法士やリハビリ科、機能回復指導をしてくれるところと専門分野で細分化されていますが、犬の場合は、ケガでも病気でも獣医さんが全部診るのが一般的です。歩けなくなった犬を病院に連れていっても、「老化ですね」で終わってしまうことも少なくありません。でも何もしないとどんどん衰えていってしまいます。

『うちのコに何かしてあげられないか』という飼い主さんの悩みに、整体だからこそ応えられることがあると思うんです。整体は治療行為ではありませんが、体を整えてあげれば、犬自身が楽に体を使えるようになります。

  • 三本脚のミニチュアシュナウザー15歳

  • 股関節形成不全のバーニーズ11か月

  • 前庭疾患の柴犬13歳

犬は言葉が話せない。気づいてあげるのは飼い主さん

老犬や骨の異常がある犬が、最期まで自分で歩けるカラダでいるためには、飼い主さんによる家でのケアが大前提です。犬の整体研究所では、施術を行なった後に、自宅で犬のケアをするための揉み方やストレッチの方法を飼い主さんにレクチャーしています。

施術の方法を教える講座も開いています。人間なら、自分の体の不調に自分で気づいて行動できますが、犬は言葉が話せません。飼い主さんが気づいてあげるしかないからです。

飼い主さんが犬の正しい姿勢を知っていれば、背中が曲がってきたり、首やお尻が下がってきていることに気づけます。定期的に体の点検をしてあげていれば、触った時にいつもと違うことにも気づけます。気づくことができたら、筋肉を揉みほぐしてあげることで早期に対処してあげることができます。生まれつき骨に異常があるとか、歩けなくなりやすい血統の犬は特に、毎日一緒にいる飼い主さんが変化に気づくことが大切なんです。

  • 警察犬訓練学校の㈱オールドッグセンターに依頼された飼い主さん向けの出張講座

最期に「幸せだった」と思える飼い方

どんなに大事にしていても、いつかは命を見送らなければならない時が来ます。老犬や骨に異常がある犬でも、飼い主さんがケアをしていたことで、最期の最期まで自分で寝返りが打てた、自分で歩いて水を飲みに行けた、ということがあるんです。

最期の時って、「もっと何かしてあげられたんじゃないか」という後悔がよぎったりするもの。でも、体を揉みほぐされて気持ちよさそうにしてくれた犬の表情を思い出して、「あのコと十分に一緒にいられて、幸せだった」と飼い主さんに思ってもらえる。最期を迎えて飼い主さんが「幸せだった」と思えることが大切だと思うんです。

3歳になるお嬢さんがいらっしゃるという小林さんが話してくれた、「人間の子供はいつか自立していくけれど、犬は最期まで飼い主さんのもの」という言葉が印象的でした。犬の整体研究所で犬のケアを学ぶ飼い主さんたちにとって、犬へのケアは、骨の異常や老化で歩けなくなることを防ぐためです。しかし同時に、犬との時間を幸せなものにするためでもあると思いました。

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