好きなことをとことんやる。「CALIFORNIA POKE COMPANY」スタイル

アメリカ古材を使用して造られたウッディなお店の前に、オーナーが実際にカリフォルニアで乗っていたオレンジのバン。空間ごとカリフォルニアから切り取って持ってきたような、そんな雰囲気が魅力の「CALIFORNIA POKE COMPANY」はオープンから7年目を迎えます。オーナーの内田鉄兵さんとのお話から、愛され続ける秘訣を探ります。

「CALIFORNIA POKE COMPANY」とは?

茅ヶ崎市柳島海岸すぐ近くに位置する「CALIFORNIA POKE COMPANY」。湘南のサーフタウンを結ぶ134号線沿いを走っているとオレンジ色のシボレーバンが目に飛び込んできます。バンの横にあるウッドデッキでは、さわやかな海風を感じながら食事を楽しむ人の姿。店内へ入ると、かわいらしいサーフボードや雑貨がちりばめられており、海外のカフェに訪れたようなワクワク感が溢れます。

  • 目印のオレンジ色のバン

  • おしゃれな店内

おしゃれで、どこか優しく懐かしい、そんな雰囲気が漂う店内でいたけるのは「ポキボウル」。ポキボウルとは、ハワイ生まれのポキと日本のどんぶりがカリフォルニアでアレンジされて生まれた料理です。カリフォルニアに15年住んでいたという内田さんが作り出す本場のポキボウルを求め、連日多くのお客様でにぎわいを見せています。

  • 彩鮮やかなポキボウル

夢のカリフォルニアへ単身渡米

内田さんは茅ヶ崎で生まれ育ち、土地柄からごく自然にサーフィンを始め、サーフィンへの情熱が高まるにつれ、サーフィンの聖地・カリフォルニアに対する思いは募っていきます。そして23歳の時、カルフォルニア行きを決意します。

サーフィンをはじめ、アパレルやバンドなど、内田さんが好きなものすべてがカリフォルニアにありました。まずは1年間行ってみようと、語学学校に通いながらサーフィンに没頭する生活を楽しんでいるうちに、このままカリフォルニアに住みたいと思い始めます。寿司レストランでバイトを始め、気が付けば数年後にはマネージャー職へ。そのまま正社員となり永住権も得て、カリフォルニアでの生活は15年となっていました。

そんなカリフォルニアの生活の中で出会ったのがポキボウルでした。ポキという言葉はハワイから生まれたものですが、ポキボウルはカリフォルニア生まれ。雑穀米や玄米をマグロやサーモン、アボガド、野菜とともに楽しめるとセレブたちの間で話題となり、ヘルシーフードとして人気が出たものとのこと。

カリフォルニアのお店では、具材がずらりとカウンターに並び、自分好みに野菜やシーフードの種類、ソースの種類や辛さ、ボウルの大きさまで選ぶことができます。内田さんは、その味のバリエーションの豊富さとおいしさに虜になったといいます。

  • カリフォルニアでの生活

地元である茅ヶ崎でお店をオープン

39歳の時、日本でお店を開くチャンスに恵まれます。内田さんはカリフォルニアでの充実した生活に満足していましたが、悩んだ末、地元である茅ヶ崎で、自身がカリフォルニアで心惹かれたポキボウルのお店ならやってみたいと、帰国を決心します。

  • オープン当初の様子

開店当時は苦しい日々が続く

最初は自身と同じようなサーファー向けに、サーフィン後の食事としてちょうど良い丼物というイメージで提供を始めたという内田さん。しかし、現実は厳しく、なかなかお客さんが増えなかったと内田さんは振り返ります。

開店から悩みながらの経営が続いていましたが、転機が訪れるきっかけを作ったのは人手不足により雇い始めたパートのママさんたちなんです、と内田さん。

ママさんたちから、「ランチセットを作ったらどうかな?」「そしたらサラダとデザートは必要だよね!」「かわいいスイーツがいいな」「スイーツの為にポキボウルの量を少し減らしてみたらどうかな」など、いろいろと意見があがりました。

「僕自身考えてもこなかった発想で、もらった意見には現状を打破するたくさんのヒントがあるんじゃないかと思ったんです。冷静に考えてみると実はお客様の多くは女性だったんですよね。自分がやりたいことやるのもいいけれど、喜ばせるべきなのはお客さんであり、お客さんが喜んでくれるものをとことんやってみようと考えるようになりました」

  • 内田さん手作りのサーフボード

以降、ヘルシーフードとしてセレブ達が好んでいたという側面から、女性客を意識したメニュー開発や、スイーツの改良を重ねていったという内田さん。

特に思い入れが強いという「レインボーケーキ」は、発売開始後から口コミやSNSで話題となり、今では他県から来店する方いるという看板メニューに。旬の食材を使った期間限定のスイーツも定期的に販売しており、常連客のお楽しみにもなっています。

  • レインボーケーキとシフォンケーキ

「喜んでもらいたい」を追求

女性を中心に固定客がつき、著名人もお忍びで訪れるような人気店となった「CALIFORNIA POKE COMPANY」。その人気は、料理の味や華やかさはもちろん、内田さんの気遣いとお客さんに喜んでもらいたいという想いが生み出しているように感じます。

ポキボウルを入れる器をお客さんの人数や注文した料理、その人の雰囲気によって色の組み合わせを考えて提供しています。「せっかく来ていただいているんだし、最大限に楽しんでもらいたい。味だけではなく、運ばれてきた時の見た目や色味も大事にしたいんです」、と内田さん。

テイクアウトBOXには手書きのイラストが描かれています。なんと内田さん自らが描いているそう。

「店内を利用する方と同じ値段をいただくのに、ただのBOXだったら味気ないかなって…。でも、それは描きはじめたきっかけだっただけで、描くことが好きだから描いている、に近いですね! お客さんにも好評なんです」

  • テイクアウトBOXに描かれているイラスト

愛犬家だから作れるこだわりのドッグメニュー

ワンちゃんメニューが豊富なのも「CALIFORNIA POKE COMPANY」の特徴の一つ。内田さん自身が愛犬家、奥様は動物看護士ということもあり、ワンちゃんが喜びそうなメニューがずらり。「今ではお店で仲良くなったというワンちゃんコミュニティも広がり、テラス席が賑やかになることも増えたんですよ」、と嬉しそうに話をする内田さん。

「オリジナルのドッグフードも開発中です。ジビエや鹿は、廃棄部分が多くフードロスが多いんですが、実はワンちゃんはジビエや鹿の味が大好き。廃棄部分をうまくワンちゃん用フードに活かしていきたいんです。いずれオリジナルフードとしてお店におきたいですね!」

インタビューが終わった後、愛犬の写真を見せてくれたり、おすすめのサーフショップを教えてくれたり、とても親身でフレンドリーな内田さん。

「自分がやりたいことと、お客さんに喜んでもらえること。この2つに焦点を当てながら、今後も好きなことをとことんやっていきたいです」

そんな内田さんのスタイルが、「CALIFORNIA POKE COMPANY」の良さであり、愛される秘訣なのかもしれない。

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