築85年の古民家カフェで、歴史を感じながら過ごす贅沢な時間。鎌倉「燕カフェ」

鎌倉駅から徒歩10分ほどの場所にある「燕カフェ」は、築85年という歴史を感じる古民家カフェ。居心地のいい空間とカラダにやさしい食事を提供しています。お店の入口には自治会長の立て札がある燕カフェ。今回は、オーナーの石田雄さんにお話をおうかがいいたしました。

築85年の古民家カフェ 靴を脱いでくつろぐ空間

小町通りの喧騒から離れて東勝寺跡に向かう道の途中、住宅街の中に燕カフェはあります。

歴史を感じる古民家の扉を開けて玄関の下駄箱に靴をしまい、お店に入ります。まるで誰かの家におじゃまするような気分。お洒落なアンティークの家具が並べてある部屋の中はキッチン部分だけ改装して、あとは昭和9年に建てられたときのままだというから驚きです。

湿気が多い時期になると開閉しずらくなる扉をお客さんが開けるたびに、「閉めますからそのままで大丈夫ですよ」と声をかける石田さん。それでも、扉を変える予定はないと言います。この家を大切に保存していこうという想いが伝わってきます。

  • 《門から扉までのスペースに並べられた骨董品》

元イタリアン出身のオーナーがカラダにやさしい料理を提供

「いつもの食事より、身体にいいものを・・・」をコンセプトにした、野菜を中心としたメニュー。肉を使わない“大豆ミートの唐揚げ膳”、“豆乳薬膳カレー”、絶対菜食主義者であるヴィーガンの方でも食べられる“おまかせリゾット”など、元イタリアン出身の石田さんならではの“和と洋を融合した食事”を楽しむことができます。

「お店で使う有機野菜はなるべく色が濃くて、味がしっかりするものを選ぶようにしています」と石田さん。毎日、新鮮な野菜を買い出しに行かれているのだそうです。

  • 野菜がたっぷり入った薬膳カレー

骨董が好きだった母の影響を受けて活かされるセンス

天井やテーブルに飾られたドライフラワーは石田さんが作ったもので、お店の中にある骨董品や料理に使われる器やカトラリーはお気に入りのお店などで買い付けてきたものだそうです。

器に合わせて盛り付けられた料理はとても美しくて、つい写真を撮りたくなってしまうほど。「子どもの頃、アンティークが好きな母に連れられて骨董市などによく行っていました。当時は良さがわからなかったけど、きっとその影響もあると思います」と言う石田さん。

薬膳やドライフラワーもお母さまの影響ではじめて、それが今のお店に活かされています。

  • お店の入口にはオーナーが買い付けた骨董品が飾られています

  • ライトのまわりに飾られたドライフラワー

食べ歩きが主流となっている鎌倉であえてテイクアウトはやらない。その理由とは

燕カフェのSNSで石田さんが発信する、鎌倉の食べ歩きについて思うこと。

以下インスタグラムから引用

フードロス問題しかり、プラスチック問題しかり、売れれば後はどうだっていい。っていうのは、少し違うんじゃないか?って。まぁ今の鎌倉の現状を間近で見てると、特にそう思います。
食べ歩くのが良いとか悪いとか、テイクアウトの是非や善悪の話ではありません。私の信念の話です。
自由がもてはやされておりますが、責任を負った上での自由です。責任なくして自由なんて絶対ありえません。
だから、信念を掲げます。

ということで、カフェなのですが、燕カフェの方針として、テイクアウトはいたしません!笑
ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

「料理を提供している人が言うのもどうかなという葛藤もあったのですが、31年間鎌倉に住んでいて誰も言わないことを我慢できず書いてしまいました」と笑顔で話す石田さん。

食のありかたについて自分に正直に向き合う姿勢は、消費者である私自身もきちんと考えなければいけないというきっかけを与えてくれました。

  • コーヒーはハンドドリップしたものを提供

自治会長を務める理由ときっかけ

「住宅街で飲食業をやっているのは自分だけ。近所の人とコミュニケーションがとれるきっかけにもなると思い引き受けました」

回覧板をまわしたり、集金に行ったり、定期的に開催される町内会に参加したり近所の人たちと関わることで地元の人に認められるお店になってきたのではないかと石田さんは言います。

自治会長を務めることは、簡単ではないはず。住んでいるわけではないのに、自治会長を務めるカフェはとても珍しいとのこと。それでも、地元の人との関係も大切にしたいと考える石田さんの信念はなかなか真似できることではありません。

レンタルスペースの利用、スタジオ貸切もできる古民家カフェ

1階のカフェスペースは、ブライダルフォトなどの撮影で店舗の貸切も可能。2階はレンタルスペースになっていて、ヨガ教室やマッサージなどが定期的に開催され、会議室として利用されることも。カフェスペースに置かれたガラスケースには、作家さんによる作品も展示販売されています。

「古民家といっても外見だけで内装がリノベーションされているところが多いですが、築85年の歴史を感じるトイレの扉、大黒柱、ネジ式の鍵などを見て、なにか感じてもらえたら嬉しいです」と石田さん。

  • 1階窓際の席

はじめて燕カフェにおじゃましたときオープンよりもはやい時間に着いてしまい入口で待っていると、近所のかたが挨拶をしてくれたり、「もうすこしで、お店の人がくるわよ」と声をかけてくれました。それも、石田さんと地元の方とのつながりがあるからこそのこと。

お店の裏側には、川があり山道へと続いていきます。人が多いイメージの鎌倉駅周辺にこんな場所があったんだ! と内緒にしておきたくなるような素敵なお店です。

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