伝統を受け継ぐ“三代目”が、愛情と手間をかけてつくる絶品「洋食エイト」。

洋食……その言葉はどこかノスタルジックで、郷愁を誘う響きがあります。流行すたりに左右されることなく、お馴染みのメニューがランチでもディナーでもいつものように並ぶ。そんな当たり前の光景が、ほっと心を癒してくれるのではないでしょうか。今回は、平塚駅西口にある人気の洋食屋「洋食エイト」さんにお邪魔してみました。

古き良き昭和が薫る、レトロな雰囲気に癒される。

木製の引き戸にかかった暖簾が風になびく、雰囲気のあるレトロな店構え。店の前には年季の入ったバイクが、オブジェのように置かれています。ランチタイムの終わりということもあり、店内にはのどかで静かな時間がゆっくりと流れています。

  • ▲ スローな時間が流れる心地よい店内

168時間かけてつくる、旨みを凝縮したデミグラスソース。

注文したのは一番人気の「エイト」。ハンバーグとカニコロッケ、つけあわせにナポリタンが載った一皿と、冷製スープとライスが付いた一品です。焼きたてのハンバーグからは湯気が立ちのぼり、たっぷりとかけられたデミグラスソースの甘い香りが鼻腔をくすぐります。「ミンチや挽肉ではなく、固まりの牛肉を自ら挽いた牛肉100%。そして極力、湘南の地場産野菜を使用するなど、とにかく身体に安心なものにこだわります」と語るマスター。

  • ▲ あふれる肉汁とソースが絶妙にマッチ

早速、ナイフを入れてみるとフォークだけで十分の柔らかさ。断面からはジューシーな肉汁があふれ出ます。一片を口に入れると、ふくよかな肉の旨みと濃厚ながら優しい味わいのデミグラスソースの美味に満たされます。さくっとした歯ざわりにクリームの甘みが絶品のコロッケ、付けあわせを超えたうまさのナポリタンとすべてがハイレベル。一番人気というのも納得の美味しさです。

  • ▲ 丹念な手さばきが冴える、丁寧な仕事

「化学調味料不使用の無添加にこだわり、安心して食べられるものだけを提供します」というマスター。ソースは1週間、168時間もの時間をかけてつくるなど、とにかく手間をかけて丹念につくりあげ、食の安全へのこだわりは頑なに守り続けています。

“普遍への憧憬”から洋食の道へ。

そんなマスターですが、この店をオープンまでの経緯もちょっと風変わり。学校給食などの調理を行っていたマスターですが、ふとした時にホンダのバイク「カブ」に出会ったそう。それは1960年代のものながら、まだまだ現役。その衰えぬポテンシャルの高さに“昭和という時代への憧れ”を抱いたといいます。

「変わらないことの良さ、魅力。“普遍的”なものが好きということに気づきました」。そこで次々と昔ながらの洋食屋が姿を消していくなか、クラシックかつスタンダードな料理である洋食の火を絶やさぬようにと、洋食屋を始めることにしました。

  • ▲ 昭和の定食屋を思わせる、適度な広さの店内

  • ▲ 店頭のカブは仕入れにも利用。まだまだ現役で活躍中

そこでマスターは仕事の休みである土日に、かつて平塚の老舗洋食店として人気だった「えりか」に弟子入り。そこでマスターに洋食のノウハウなどの手引きを受け、やがて自らを“三代目”を名乗って店をオープン。試行錯誤の結果ようやく軌道に乗り、洋食を懐かしむご年配の方だけでなく、お子様から家族連れまで幅広いお客様がいらっしゃるといいます。

  • ▲ 店内には、尊敬する「えりか」のマスターとの1枚も

続いてオムライス。見た目も鮮やかな半熟卵の上には自慢のデミグラスソースがたっぷり。手ごろな大きさだったので、ペロリと食べられると思っていましたが、これがなかなかボリューミー。中のチキンライスにはおおぶりな鶏肉やきのこ、野菜などの具がたっぷり。かなりお腹がいっぱいですが、その美味しさにスプーンが自然と動いてしまいます。

  • ▲ ふわとろな卵が絶妙

  • ▲ ジンジャーエールはお手製のエキスをペリエで割って

絶品ランチの他に、ワインと楽しむディナーも。

「不定期ではありますが、ワインと洋食に親しむ会なども開催しています。無添加にこだわる店なので、ワインも自然派ワインオンリー。どなたの参加も歓迎です」とのこと。アットホームかつ優雅な大人のワインパーティーを楽しんでみてはいかがでしょうか。また、9月16日(土)・17日(日)には、5周年祭を実施。普段は並ぶことのない特別メニューでお客様をお出迎えするとか。

  • ▲ ビオワインなど、ディナーはアルコールも充実

最後になりましたが、実はマスターが名乗る“三代目”という言葉も、ちょっとした遊び心からきているもの。「何で三代目? 初代・二代目はどなた?」などといった秘密は、訪れた際にこっそりとマスターに聞いてみるのも面白いのではないでしょうか。

  • ▲ 幸せを呼ぶような黄色い暖簾が目印

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