ローカルファーストを徹底! Chigasaki BEERが目指す「縁を繋ぐ循環」とは

サザンビーチのすぐ近く。海沿いの国道134号を走っていると突如現れるおしゃれな建物が「Chigasaki BEER & Villa」です。1~2階はクラフトビールの製造所であるブルワリー、3階はレストラン「サーフライダー号」となっています。

今回、Chigasaki BEER代表兼総合プロデューサーの岩瀬望美さんに、ブルワリーを作ろうと思った経緯や想い、今後の展望などを伺いました。

茅ヶ崎生まれのクラフトビール「茅ヶ崎ビール」

サザンビーチ目の前にあるブルワリーで造られている、クラフトビール「茅ヶ崎ビール」。キラキラ光る湘南の海と、爽やかな潮風を彷彿させる軽やかな飲み口が特徴です。

できたてのビールを美味しい料理とともに楽しめるレストランが併設されているのも嬉しいところ。ランチやディナーをはじめ、パーティープランや貸し切り、テイクアウトまでできるとあって、連日賑わいをみせています。

茅ヶ崎ビールの定番商品は6種類

ラガー
ホップの苦みを抑えたライトボディビール。茅ヶ崎の海を見ながら飲みたくなるような爽快感のある味を目指した1本

ゴールデンエール
爽やかな香りが特徴。アルコール度数は控え目の3.5%で飲みやすく女性人気No.1

アイピーエー(IPA)
どっしりとした苦みとフルーティな香りが特徴的なビール。肉料理にぴったり

スタウト
ローストした大麦を使用した黒ビール。すっきりと香ばしさを感じる味わい

小松菜ヴァイツェン
茅ヶ崎大竹農園の小松菜を使用した白ビール。苦みが少なくフルーティな香りが特徴

ドラゴンエール
宮古島のドラゴンフルーツを使用したレッドエール。見た目も香りも華やか

茅ヶ崎に名産品とシンボルを

なぜ、この地にブルワリーとレストランを作ろうと思ったのでしょうか?

「茅ヶ崎の名産品は?と聞かれて、何か思い浮かぶものはありますか? 手土産を持っていきたくても、タコせんべいやしらすのような湘南土産となってしまいがちで、茅ヶ崎を代表するものがないんです。茅ヶ崎といったらコレ!というような名産品が作りたかったのが一番の理由です」と岩瀬さん。

そこで目をつけたのがお酒。一般的な家庭の冷蔵庫にはなんらかのお酒が入っていて、それがビールであることが多いと考えました。

「茅ヶ崎はクラフトビールが人気なのもあり、お酒文化はこれからも長く続くものだと確信し事業をスタートさせました。茅ヶ崎の家庭の冷蔵庫には茅ヶ崎ビールが入っている、そうなったらとても素敵だなって」

  • 代表兼総合プロデューサーの岩瀬望美さん

「また、こんなにも海が近いブルワリーは全国探しても見つけられないのではと思っています。だからこそ、ビールを造るだけでなく、この絶景とともに楽しめる場所をつくりたい――そんな想いから、レストランも併設しました。3階にあるレストランからは、天気の良い日には烏帽子岩や江の島、さらには富士山までも望めます」

「ビールだけでなく、レストランを含めて茅ヶ崎の新たなシンボルになっていってほしい。家族や大切な人と過ごす場所、茅ヶ崎観光で立ち寄ってほしい場所、海散歩のついでにふらりと立ち寄れる場所……そんなふうに、さまざまなシーンで選んでもらえるような、茅ヶ崎の魅力を詰め込んだ場所にしていきたいですね」

Chigasaki BEERが目指す「循環」

Chigasaki BEERを設立しようと動き出したころ、まだサステナブルという言葉があまり知られていないころから、合言葉に「循環」を掲げていたと岩瀬さん。

「ただビールを作るだけではなく、地域にお金を還元できるような基盤をつくろうと思ったんです。大手メーカーのビールを買ったら当然その会社がある東京などに税金やお金がいきますよね。そうではなく、茅ヶ崎のものを買ってもらって、茅ヶ崎にお金が落ちるようなローカルファーストの循環を築いていきたいと思いました」

岩瀬さんの考える循環は茅ヶ崎ビールというブランドを作ることだけに留まりません。

ビールを作る過程で問題となるのが、産業廃棄物が大量に出てしまうこと。水分を含む麦芽粕は肥料として利用する以外に使い道がなく、ゴミとなってしまうことがほとんどだそうです。

そこで、Chigasaki BEERは麦芽粕から水分を絞り出す機械を独自に開発。これにより、肥料ではなく飼料としての活用が可能となり、近隣にある「茅ヶ崎斎藤牧場」へ提供が始まりました。栄養豊富な飼料を食べて育った上質な牛は、同じく茅ヶ崎エリアにある「熟成肉工房ジロー」にて無添加製法で加工され、サーフライダー号でお料理としてテーブルに並ぶというひとつの循環が生まれました。

また、レストランで使用する食材はローカルファーストを意識。茅ヶ崎の農産物はもちろん、全国各地で美味しいものを見つけたら直接交渉をして仕入れているといいます。

「地産地消にこだわることもいいのですが、それにはどうしても限界があります。茅ヶ崎にあるものは茅ヶ崎のものを、地元で足りない物は他の地域の名産品を仕入れるようにしています。直接農家さんや漁師さんとお話をして、その地域へきちんとお支払いする、そんなローカルファーストを心がけています。いろいろな地域と繋がれるおもしろさも感じています」

ドラゴンエールで使用されている宮古島のドラゴンフルーツや、レストランで提供される北海道のホタテは、岩瀬さんお気に入りのもの。

「大げさかもしれませんが、茅ヶ崎を循環させて、その他の地域と共にさらに大きな輪を作り、最終的には日本全体を元気にしていきたいんです。ご縁を繋いでいくような循環を目指しています。何かおすすめの美味しいものがあったら是非教えてください!」そう笑顔で話す岩瀬さん。

常に新しいものを取り入れようとする岩瀬さんの姿勢が、茅ヶ崎ビールの原動力となっています。

Chigasaki BEERの現場に潜入!

今回は特別に、Chigasaki BEERのブルワリーを見学させていただきました!
建物の1〜2階がブルワリーとして使われており、大きなタンクがずらりと並ぶ様子は圧巻です。なんと、1種類のビールを仕込むのに、これらすべてのタンクが使われるのだそう。

 麦を麦芽へと加工し細かく破砕後、温水と混ぜて糖化液(もろみ)作り、ろ過装置で不純物と液体に分けます。ホップを加え煮沸と冷却を経てできあがった麦汁に、酵母を入れて4週間ほど寝かせ、発酵させたらビールが完成します。

味は酵母の種類によって異なり、発酵期間もまちまち。生きている酵母の状態を見ながら調整したり、ホップの香りを計算したりと、時間と手間がかかっていることが見てとれます。

来場者が麦芽を投入し、後日完成したビールをプレゼントしてもらえる「麦芽投入式」などの体験イベントや、ブルワリー見学を実施することもあるそうなので、気になる方はぜひ公式HPInstagramをチェックしてみてくださいね!

Choice!CHIGASAKIの認定品に抜擢

2025年7月に予定されている道の駅「湘南ちがさき」のオープンを機に、茅ヶ崎市では“再発見、茅ヶ崎。”をコンセプトとしたブランディング活動が始まりました。
書類選考や一般投票などのプロセスを経て、27のモノ・コトが茅ヶ崎市のオリジナルブランド「Choice!CHIGASAKI」の認定品として選ばれています。

その中の1つに茅ヶ崎ビール「小松菜ヴァイツェンwith 大竹農園」が選ばれました。今後、茅ヶ崎の本質的な魅力の発信や認知度・イメージの向上につなげていく活動の一端を担うことになります。

「何か茅ヶ崎産の素材を使ったビールを作りたいと思ったんです。最初はしらすにしようかとも考えたのですが、どうもピンとこなくて。トマトのビールもすでにありそうだし、もっとインパクトのあるものがいいなと探していたところ、地元の大竹農園さんでは小松菜が一年中収穫できると聞いて、“これだ!”と思いました。なんだか健康的に見えますしね!」

「Choice!CHIGASAKIの選考にはたくさんの応募があったので不安でしたが、みなさんの投票のおかげで選ばれることができました! 茅ヶ崎の名産品を作るという夢の第一歩を踏み出せた気がします」

海とビール、地元の恵みと人の想いが詰まった「Chigasaki BEER & Villa」。ブルワリーとレストランが一体となったこの場所は、茅ヶ崎の風土や魅力を五感で楽しめる新たな拠点として、これからますます注目を集めていきそうです。

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