大人気の魚屋が待望の飯屋をオープン「魚つる はなれ」
朝の開店からひっきりなしにお客さんが訪れ、「いらっしゃい、いらっしゃい安いよ! 今日はブリ、どう? はい、おまけ! おまけ! 持ってって!」と威勢のいい声が飛び交い熱気あふれる魚屋さん。そう、藤沢駅前にある藤沢名店ビルの地下1階にある魚屋「魚つる」は鮮度の良さと安さ、気っぷの良さでいつも大賑い。まさに“藤沢の台所”ともいえる人気店です。
その魚つるが、8月初め、新たに魚屋と定食屋を併設したお店「魚つる はなれ」をオープン。早速、お店におうかがいいたしました。
開店日当日から早くも行列が!
お店は名店ビルの奥、松屋の手前を左に曲がった先で線路の手前。取材前、偶然にも開店日におうかがいした時には、店先は多くのお客さんであふれ、早くも順番待ちができるほど。あの「魚つる」直営のお店ということもあり、みなさんの期待と注目の高さが早くもうかがえます。
さて、今回の取材では2品ほどをご用意いただいて……と予定していたのですが、「全部用意しますよ、ぜひ食べてって!」と店長の岩田さん。さすが、気っぷの良さが評判の魚つるさんならではの太っ腹ぶりです。
店長の岩田一郎さん
開店前に仕込みをするスタッフ
「今日はなに?」と毎日異なるメニューが魅力
早速いただいたのは、その日の日替わりメニューである「魚屋のきまぐれ飯」。この日は天丼で、「魚屋の気まぐれ飯セット」メニューには刺身が3品と茶碗蒸しが付くという構成。天丼には網代産のハモをメインに小田原産のカマス、地物のアジ、エビなど豊富な具材がたっぷり載せられた一品です。
自慢のハモは白身ならではのホクっとした優しい歯触りと上品な身の味が楽しめます。またセットのお刺身は、カツオのたたき、天然シマアジ、アオリイカがたっぷり。サイドメニューとは思えないほどのボリュームです。
この日は天丼がメインでしたが、丼物に刺身が載った時はサイドメニューが揚げ物になることが多いとか。毎日、飽きずに楽しめるメニューとなっています。
大きい天ぷらがぎしりの「魚屋の気まぐれ飯セット」
続いてご用意いただいたのは、「はなれ丼」。まぐろやアジ、タコ、鮭などの魚だけでなく、キュウリや卵などを細かく切った具材が自家製特製ダレで味付けされた丼。一度口に頬張るだけで刺身とは違う、さまざまな魚の味や食感を楽しめます。こちらは途中から温玉を入れるのがおすすめ。ねっとりした卵がまろやかさと甘みで魚をコーティング。一段上の濃厚な味が楽しめます。
思わず掻きこみたくなる「はなれ丼」
新鮮な刺身が10種類も!
次にご紹介するのは「魚屋の海鮮don」。その日のオススメの魚がぎっしりと詰まった贅沢な一品。この日は天然シマアジ、佐賀産のクエ、のどぐろのあぶり、キンメダイ、メイチダイ、本まぐろの中トロ、甘エビ、自家製イクラ、ズワイガニのほぐしと10種類の魚がたっぷり。ボリュームたっぷりの迫力満点の海鮮丼です。
この海鮮donをご飯と刺身で別々にして提供されるのが、「魚屋の刺身定食」。たっぷりのお刺身はビールなどのお酒と一緒に…という方にもぴったり。贅沢な昼下がりを楽しむことができそうですね。しかし何故、こんなにも豪華なお魚をリーズナブルな価格で提供できるのでしょうか?
高級魚も載った「魚屋の海鮮don」
「魚屋の刺身定食」とビール…も最高!
「滅多に食べられない高級魚をリーズナブルに」が信条
「やっぱり魚屋しかできないものを提供したいんですよね。例えば、テール(しっぽ)部分など、あまり市場には流通しない部分を使ったりね。さらにクエや本まぐろなど、そう簡単には食べられないものをいかに安く提供するかがウチの最大のウリ。高級なものを気軽に楽しんでいただきたいんです」と岩田さん。
仕入れは毎朝、横浜の魚市場へ。日ごとに異なるその日最高の魚を提供しているため、メニューは毎日変化するといいます。全国津々浦々から取り寄せた季節の旬の魚から、相模湾で獲れた地物の魚まで多彩な魚を用意。ボリュームたっぷりの「海鮮don」も単に魚を豊富に並べるのではなく、脂の乗ったもの、淡白なもの、食感が楽しめるものとそれぞれの魚の魅力を楽しめるように考えられているとか。こうした細やかな計算や配慮は、さすが魚のプロならではと唸らされます。
メニューは毎日書き換え。覚えるスタッフも大変…
隣接の魚屋は、新鮮な魚でいっぱい
さて、こちらのお店は隣に魚屋さんを併設しているのが特徴。こちらも食堂と同じく地物を中心に、藤沢ではなかなか手に入らない高級魚のクエなど、全国から鮮度の良い魚を集めています。「賑やかな従来のお店(名店ビル地階)と比べて、こちらはよりゆっくり落ち着いて魚を選べるのが特徴です」と岩田さん。できたばかりのきれいなお店に並べられた魚たちが、さらに美味しそうに映ります。
またこちらの魚屋には海苔や海藻など、海産物の乾きモノも多く取り扱っているのが特徴。なかでも一押しは、乾燥させたアゴ(トビウオ)が醤油の空き瓶に入っているもので、こちらに醤油を注ぐと、数日でアゴの旨味が溶け込んだ美味しい自家製醤油が作れるというもの。早速、こちらを買って自宅で試したところ、風味の良さとより濃厚な味わいの醤油が完成。本当に手軽でオススメの一品でした。
土日限定のメニューも見逃せない!
そして最後の一品として提供していただいたのが「イクラ鮭丼」。焼き鮭に鮭のお刺身、そして自家製のイクラが「これでもか!」とこぼれんばかりに載った鮭尽くしの丼。きらきらと輝くイクラは噛むごとにプチプチと口の中で弾け、お刺身はねっとりした甘さ、そして焼き鮭の香ばしさとすべてが絶妙な逸品です。こちらは土日の限定メニューとのこと。土日の限定メニューも毎週変わるので、こちらは何が登場するかは行ってからのお楽しみとなります。
さあ、今回は多くのメニューをご紹介させていただきましたが、いかがでしょうか? 実は「どのメニューが人気ですか?」と尋ねたところ、どのメニューも同じように注文されるのでお店側も分からないそう。
また、あまりにも人気で忙しく、現在はランチ営業のみですが、今後は夜営業も行う予定だとか。仕事帰りに美味しいお酒を飲みながら、肴で一献…が今から待ち遠しい限りです。さあ、これからますます魚が美味しくなる季節、魚屋だからこそできる至福の一品をぜひ味わってみください。
ライター情報
ユゲヒロシ
鵠沼海岸生まれ、鵠沼海岸育ち。バックパッカーとして世界を旅した後、広告制作会社に。2003年よりフリーランスのライター&ディレクターに。趣味はキャンプ、ロードバイクなど。B・C級グルメ、お酒が大好き。
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