地域に愛され10年目、鵠沼海岸のカフェ「Kabutos cafe」

鵠沼海岸に住む人に「この辺りでハンバーガーと言えば?」と聞くと、多くの人が口を揃えて「Kabutos cafe(カブトスカフェ)のアボカドがたっぷり乗った“鵠沼バーガー”」と答えます。そんな人気店もオープンしてから今年で10周年を迎え、今も変わらず地域の方に愛されています。お店を始めた当初から、変わらぬ想いでお店を続けるオーナーの神谷節(かみやせつ)さんにお話を伺いました。

鵠沼海岸らしい空間と、美味しさを追求

鵠沼海岸駅を降り、改札口の目の前にあるビルの細い階段を上がった2階にあるのが、「カブトスカフェ」です。お店に入るとどこか懐かしい雰囲気を感じる空間が広がります。奥から笑顔でオーナーの神谷さんが出迎えてくれました。

ノスタルジックな店内を創り出しているのは、ハンドメイドのインテリアや小物の数々。例えば入り口に吊されているランプは、鵠沼海岸にある美容室のオーナーの手によって陶器で作られた1点物。他にも店内のテーブルや棚も、神谷さんがスタッフの方々と手作りされたのだとか。昔からある商店街を持つ鵠沼海岸駅のお店らしい空間をイメージし、オープン当初から“手作り”にこだわってきたそうです。

看板メニューは“鵠沼バーガー”

カブトスカフェの看板メニューは、オープン当初からある、この土地の名を冠した“鵠沼バーガー”。たっぷりのアボカドが乗ったオープンサンドバーガーです。「鵠沼海岸に住む人は、自由で自分らしく生きている人が多い」と感じ、「食べ方も自由に決めて欲しい」という想いからオープンサンドスタイルにしたのだそう。また、優しい味付けは、幅広い世代のお客さまが楽しめて、何度食べても飽きない味にするために工夫を重ねたのだとか。バンズは、このお店の為に辻堂のパン屋さんに作ってもらっているカブトスオリジナル。こだわりのたくさん詰まった一品です。

オープン当初からの看板メニューがある一方で、現在のイチオシメニューは“ロールキャベツ”です。4種類の味からソース(デミグラスソース・トマトソース・ホワイトソース・和風ソース)を選べます。人気ナンバーワンは12時間以上煮込んだ自慢のデミグラスソースです。簡単に箸がすっと通るほどトロける柔らかいロールキャベツに、旨みがぎゅっと詰まったデミグラスソースが絶妙にマッチします。

  • デミグラスソースのロールキャベツ

お店を始めたきっかけは「街を元気にしたい」という想いから

オーナーの神谷さんは学生時代からアートに夢中になり、数々のチャンスを掴んできました。これまでに、パルコや有名ブランド、湘南T-SITEの壁画まで、さまざまな場所のアート作品を手掛けています。その頃から変わらずアートに込めている想いは、「街を元気にしたい」ということ。神谷さんが手掛けたアートによって、知られていなかった土地が新たな話題の場所になっていくことを経験したことで、空間を創り出す面白さを知り、カフェを開くことに行き着きました。

アートの力は、カブトスカフェでももちろん感じることができます。お店の天井には、神谷さんの手による描きかけの模写が。東日本大震災で計画停電が実施された際、何か街の人々を元気づけることができないかと考え、お店を閉めずにキャンドルを立てて営業。そして、訪れたお客さまが楽しめるように、と天井に絵を描き始めたそうです。選んだ絵は、ラファエロの『聖母子像』。母と二人の子どもの絵に愛を感じたとともに、震災を機に命について改めて考えたとき、この絵に惹かれたのだとか。ところが、電力の復旧と同時にお店が忙しくなり、絵を描くことは中断することに。そのため、天井はその時から時間が止まり、下絵も残ったまま。お話を伺っていると、当時の風景が思い浮かびました。「常連さんには『いつ完成するの〜?』なんて聞かれるけど、あえてこのまま残しておく予定です(笑)」と、「時代を残すところは残したい」と考える神谷さんらしいこだわりです。

今後も“変わらない”店でありたい

「これからもずっと変わらないお店でありたい。」と語る神谷さん。「街を元気にすることは、新しいものを取り入れるだけでなく、その土地ならではの何かを残していくことも大事。ここはいつ来ても変わらない味と場所でありたい。」と話してくれました。

スタッフの方々も気さくで和気藹々とされていて、取材に訪れたこの日も楽しい時間を過ごすことができました。10周年を迎え、ストーリーがたくさん詰まったカブトスカフェに、是非訪れてみてください。

  • オーナーの神谷さん(中央)

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