合言葉は「また来るよ」。つい立ち寄りたくなる鎌倉・御成通りのコーヒースタンド。
「こんにちは!」昼下がりの鎌倉・御成通りを行く人々に声をかけるのは、先日オープンした「TANE ROASTERY COFFEE」のマスター・種(たね)さん。
鎌倉駅西口から御成通りを徒歩5分。由比ヶ浜通りすぐの場所にあるこのコーヒースタンドは、「鎌倉散歩で乾いた喉を潤したい」「ゆっくりと過ごしたい」といったご希望はもちろん、ご当地気分も存分に味わえるスポットとなっています。
実はこのコーヒースタンド、多くの人々がオープンを心待ちにしていたお店なのです。
これからの季節は、スッキリした舌触りと口の中に広がるほろ苦さが味わい深いアイスコーヒーや、ミルクのまろやかさが引き立つアイスカフェラテがおすすめ。自家焙煎のコーヒー豆も販売しているので、お気に入りの1杯に出会ったら自宅へのお持ち帰りもできます。
「最近暑くなってきたので、さらっと飲めるものを」というアバウトな注文でも、「そしたらラオスのランサンが良いかな。今日煎りたての豆だから、2〜3日寝かせてから飲んでね」とすぐにお返事が。18歳の時にはじめて触れてから20年間コーヒーと共に日々を過ごしてきたからこそ、素早いレスポンスが返ってきます。
コーヒーと共に20年。鎌倉にやってきた”引き寄せるバリスタ”。
都内のカフェでエリアマネージャーとして店舗に立ちつつ、バリスタとしてもスタッフを育てていた種さん。いまから2年前のある日、オープニングスタッフとしてヘッドハンティングされて鎌倉にやってきました。
カウンター越しに種さんの姿を見てふらりと立ち寄っていく人々。カップを片手に会話が弾んだところで常連さんが来店し、コーヒーを1杯オーダー。そうこうしているうちに観光客がまた1人足を止めて、カフェオレを注文。そんな中、コーヒーを淹れつつ「どこから来たんですか?」と会話をスタートさせる種さん。
あのカウンターは、地元の人々と旅行客という隔たりもなく、自然と会話が弾んでいく空間でした。しかし、このお店は惜しまれつつも昨冬に閉店してしまいます。
「バリスタは美味しいコーヒーを出すだけじゃなくて、誰が来てもコーヒーと会話を楽しめる空間を作るんだよ」。ジリジリと暑い夏の日、アイスコーヒーを飲んでいる時に種さんが語ったことです。
鎌倉に戻ってきたあの日常風景。お店を訪れた人々が残していくひと言とは…
前のお店のクローズからおよそ4ヶ月、「次は鎌倉に自分の店を出すよ」という言葉通り、種さんのコーヒーは御成通りに場所を移して鎌倉の日常へと戻ってきました。
TANE ROASTERY COFFEEのオープン当日は絶え間なくお客さんが来店。笑顔でコーヒーを飲んでいく人々の姿が実に印象的でした。
店先でコーヒーを飲んでいると、着物を着た姉妹がやってきました。聞けば、あじさいを見にはるばる鎌倉へとやってきて、長谷寺から明月院へと移動する間だったようです。
彼女たちがコーヒーを片手に去っていくと、次にやってきたのは眩しい笑顔のバックパッカー。流暢な日本語で「コーヒー飲みます!」とオーダーした彼はドバイから来たそうで、普段は大学で教鞭を執っているといいます。
一日を通して人々が通り行く御成通り。次々と訪れるお客さんはみんな「また来るよ!」と言ってお店を後にしていきます。フラットに、そしてカジュアルに立ち寄れるTANE ROASTERY COFFEEで、みなさまも1杯いかがでしょうか。クローズは23時半と、夜遅くまでオープンしていますよ。
TANE ROASTERY COFFEE
ライター情報
yuki
東京都出身。元公務員という不思議な経歴を持つ。2015年に湘南へ移住して以来人々の温かい助けを受け、ゲストハウススタッフ、バルホールスタッフ、シェアハウスマネージャーを歴任し、藤沢、鎌倉、逗子などを移り住む。この街の人々やお店、そして海を愛してやまない。愛する湘南の魅力を世界に発信していくのが今後の夢。
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