「鎌倉ワーケーションWEEK」開催~自然を感じ、交流を楽しむ4日間のプログラム ウェルビーイングな働き方を見つけるコミュニティーとは?

「鎌倉ワーケーションWEEK」が5月14日から4日間、鎌倉市内で開催されました。“生活で長い時間を占める「仕事」を、もっと生きがいを感じる幸せなものにするにはどうしたらいいか”をテーマに、今回で8回目を迎えるイベントです。参加者が目指す“ウェルビーイングな働き方”とはどのようなものなのか、開催の様子をレポートします。

鎌倉ワーケーションWEEKは、鎌倉市主催の「鎌倉テレワーク・ライフスタイル研究会」のメンバーが仲間を募り、市民主導の活動として誕生しました。参加者の約6割は会社員で、副業やリタイア後の仲間づくりや、新たなビジネスの立ち上げ準備が目的の人も多いそう。

交流会で参加者と話して自分のやりたいことを明確化し、次のイベントでプログラムを提供して反響を見る、事業立ち上げ前のトライアルの場としても機能しているようです。 

夜の交流会~リジェネラティブまちづくり座談会「テーマ:ウォーカブルシティ」

前半は鎌倉ウェルビーイングラボの岩濱サラさんによる「リジェネラティブなまちづくり」と「ウォーカブルシティ」についての説明です。フランス・パリ市が提唱する「15分都市構想」(徒歩15分圏内に生活に必要な施設等を集約する)など、海外の事例が多数紹介されました。

<ウォーカブルシティとは>
車中心から歩行者中心の街づくりに転換し、居心地がよく歩きたくなる空間を創出する都市のこと。環境・社会・経済の好循環を通じて都市自体と周辺環境を再生する「リジェネラティブなまちづくり」を実現する手段となる。国土交通省では現在「ウォーカブル推進都市」制度を設け、2025年4月時点で390都市が賛同している。

  • ウォーカブルシティについて説明する実行委員の岩濱サラさん

後半は参加者による座談会です。テーマは「自分がつくるウォーカブルシティ」。参加者が理想とするウォーカブルシティについて発表し、スタッフがホワイトボードに付箋を貼っていきます。

歩くことが楽しくなるゲーム的要素を取り入れる、お店や銭湯を歩いて巡りたくなる仕掛けを作る、街中で動物を飼う、空き家を休憩スポットにする、移動手段に船や新しい乗り物を取り入れるなど、多種多様なアイデアが次々と飛び出しました。集まったアイデアは次回の話し合いに生かすそうです。

前回も参加したという男性は「皆さんと顔を合わせて町について話すのは楽しいし、本当にこの場はとてもいい」と活発な話し合いを楽しんでいる様子でした。

循環対話@CAFE循環車-じゅんかんしゃ-:サーキュラーを味わう、学びと出会いのカフェ

ウォーカブルシティで活躍するのは、歩行に近い速度で動く乗り物です。ヤマハ発動機のまちなかR&D活動「Town eMotion」では、地域の場づくりや環境、移動課題に対応できる鎌倉仕様の※グリーンスローモビリティ「循環車」を産学官民と共創する活動を実施中です。

今回も「循環車」を場づくりに活用する検証を実施予定でしたが、雨のため中止となりました。代わりに室内で循環についてのワークショップが開催され、水や食料、経済など、参加者が考えるさまざまな循環について発表する「循環対話」を行いました。

※グリーンスローモビリティ:国交省が地域の移動課題対策で設定した、19キロ以下で走行する移動サービス。

  • 雨天のため、座談会は室内で開催された

  • 昨年展示された「循環車」(提供=ヤマハ発動機株式会社)

海珈琲~海岸でウェルビーイングな対話

最後にご紹介するのは「海珈琲」です。海岸でコーヒーを飲みながら、ゆったりとした時間を過ごすイベントです。

夕方17時、日没前の材木座海岸に参加者が集まってきました。参加者は会社員やフリーランスなど5名。あいさつをして早速、準備開始です。
コーヒーを入れる道具はミニコンロと、ポットのような形をしたパーコレーター。豆は「エチオピア」だそうです。しばらくすると、パーコレーターからコーヒーの香りが漂ってきました。

早速コーヒーを飲みながら、主催の大塚靖雄さんにウェルビーイングについてお話を伺います。

<ウェルビーイングとは>
“個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念”(雇用政策研究会報告書より)のこと。国連の持続可能な開発目標(SDGs)17のゴールの3番目には「GOOD HEALTH AND WELL-BEING(すべての人に健康と福祉を)」が掲げられている。人口減少による労働者不足などを背景に経産省や厚労省なども注目し、健康経営優良法人認定制度を設けるなどの取り組みを始めている。また、武蔵野大学は2024年に国内初のウェルビーイング学部を新設した。

  • 手動のミルで豆を挽く

──なぜ「海珈琲」をやろうと思ったのですか。

サーフィンが趣味で、海辺の気持ちよさを皆に体感してもらいたいと思って企画しました。海に詳しい人間が1人いれば、場所選びや危険回避もスムーズなので。

──この企画は、ウェルビーイングとはどのようにつながるのでしょうか?

「ありのままの自分でいられる環境」でしょうか。海岸にシートを敷いてコーヒーを飲むのは、ハードルの低いレジャーです。その気になれば簡単にできる、自分をご機嫌にするスイッチを持つこともウェルビーイングの実践ですね。

埼玉県から参加した男性は「海に来るのは久しぶりで、気持ちがいい」と満足した様子でした。日没前の海岸で、会話しながらのんびりと過ごす時間は格別です。お金をかけずに一緒の時間を過ごせる仲間を持つことも、日常を楽しむ秘訣(ひけつ)かもしれません。

  • 海を見ながら話し込む参加者

自然豊かな鎌倉で仲間と出会い、やりたいことを始める

今回行われたイベントの中から3つを紹介させていただきました。鎌倉ワーケーションWEEKは、 もともと鎌倉にリモートワーカーを呼び込む研究会が発端でしたが、何かをやりたい人たちが集まって仲間を見つける場へと進化しつつあるようです。しかし、単なるビジネス交流会ではなく、そこに鎌倉の自然を感じる「心地よさ」を取り入れているところが湘南らしいと感じました。

次回、9回目は「鎌倉ウェルビーイングDAYS」に名称を変更し、11月7日(金)〜11月9日(日)に開催する予定だそうです。

  • 実行委員の河合ゆきさん、岩濱サラさん、渡辺みさきさん、高久純子さん

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