鎌倉・材木座の銭湯「清水湯」で、昭和レトロの雰囲気に包まれながら体を癒やそう。

鎌倉・材木座に佇む銭湯「清水湯」。1955(昭和30)年にオープンしたこの公衆浴場は、昭和の面影を今に残す数少ないスポットです。

昔から通っている常連さんをはじめ、鎌倉散策にやってきた旅人やサーファー、そしてお祭り神輿の担ぎ手さんたちが集まるという「清水湯」の暖簾をくぐってみました。

鎌倉・材木座の街で半世紀。昭和レトロを現代に残す銭湯。

瓦屋根、木材、そして味のあるタイル……と、当時のスタイルを今でも見せている「清水湯」。いまではここ1軒だけになってしまいましたが、その昔、鎌倉駅周辺には5〜6軒の銭湯があったといいます。

「清水湯」を営む一家の生まれであるミドリさん曰く、まだお風呂付きの家が一般的でなかった当時、銭湯には多くの人々が通っていたそう。近所の人々が集まるため、お風呂場でご近所さんとばったり出会うのも日常茶飯事。当時の銭湯はコミュニティスペースとしての役割も果たしていたようです。

「(「清水湯」の)辺りの人々がみんな来てくださっていたので、脱衣場に列が出来るほど混み合っていました。そんな中、たとえば小さな赤ちゃんを連れたお客さんがいたら、周りの人みんなで赤ちゃんの世話をして、その間にお母さんがゆっくり体を癒やせるように助け合うコミュニティがあったんですよ」

こう語るミドリさん自身も、そんなコミュニティにお世話になった1人。浴場が比較的空いていた時間に入浴していた幼き頃のミドリさんですが、そのたびに近所のおばあちゃんが彼女の体を洗ってくれたり、あるいはお話し相手になってくれたりと、身も心もポカポカになれる入浴時間を過ごしていたそうです。

観光客、サーファー、神輿の担ぎ手…はじめてでも、何度でも“帰ってこれる”場所。

鎌倉市街を散策にやってきた観光客の方々や、近くをランニングしたついでに寄っていく地元の人々もいる「清水湯」。彼らを番台で迎えるミツエさんはこう語ります。

「今は都内にお住まいになっている方が材木座に帰省して、“久しぶりに入りに来ました”って来てくださることがありますね。他にも五所神社のお神輿の担ぎ手さんたちが毎年いらしてくださるんですが、“また来年も来るよ”って出ていって、“今年も来たよ”と言って帰ってきてくださったりします」

はじめてやってきた小さな男の子ですら「なんだか懐かしい気がする」というほど、高い天井いっぱいに古き良き時代のムードを漂わせる「清水湯」。在りし日の温もりに思いを馳せながら、ちょっぴり熱めのお湯でゆっくり体を癒やしてみてはいかがでしょうか。

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