“縁結びのお豆”がつなぐ恋、人情…大船の台湾家庭料理店「相思豆」のあたたかなムード。
鎌倉・大船駅東口にある「相思豆(チャンスウトウ)」。地元大船の常連さん達に愛されていることはもちろん、アーティストやアスリートが訪れたり、世界からのお客さんもやってきます。
美味しい台湾家庭料理が味わえるだけではなく、まるで実家に帰ってご飯を食べているような気分になれる場所。そんな家庭的でとてもあたたかなお店をご紹介します。
お店の由来になった縁結び豆「相思豆(シャンスウトウ)」とは?
台湾では縁結びの豆と知られるハート型の豆「相思豆(シャンスウトウ)」。この豆を恋人同士が1粒ずつ持っていると、その2人は結ばれるのだとか。
その効果をよく表しているのが、何を隠そう朱(シュウ)さんとケイコさんのオーナー夫婦です。朱さんの故郷・台湾へ初めて一緒に旅行したとき、2人は相思豆を発見。それぞれ1粒ずつ持っていたところ、やがてめでたく結ばれることになりました。
このエピソード、実はまだまだ続きが。
お店ではお客さんたちにも相思豆を渡しているそうですが、これまでいろいろな効果があったそうです。たとえば、あるカップルは結婚し、ある夫婦には子供が生まれ、恋人募集中だったある人には素敵なお相手が見つかってカップルに……そう、この相思豆の効果は抜群なんです!
“シャンスウトウ”ではなく“チャンスウトウ”?
お2人はもともと、大船で台湾料理亭「来来亭」を営んでいましたが、2007年に現在の場所へとお店を移転することになりました。そのとき、周りに似た名前の中華屋があったことと、そのお店とは違って台湾料理がメニューであることから、名前も変えることに。
そんな時、ケイコさんが思い出したのは2人を結びつけた相思豆のこと。そこで朱さんに豆の読み方を聞くと「チャンスウトウ」と答えが返ってきたので、店名を「チャンスウトウ」に決めました。しかし、その後あるちょっとした事件が……
▲ いつも笑顔で明るいケイコさん(写真左)は、誰とでもすぐ仲良しになってしまうお茶目なママさん
お店を開けてから1年が経ち、台湾から友人が来店しました。そのとき、「店名の本来の読み方は“シャンスウトウ”じゃないかな?」と尋ねられたそう。慌てたケイコさんが朱さんに確認すると「うん、“シャンスウトウ”だよ」と答えが。どうやら間違えてしまっていたのです。
しかし、そこは仲良し夫婦のお2人。“チャン”の方が響きが可愛いということもあって、そのまま「チャンスウトウ」で継続することにしました。やがて“チャンスがやってくる”という意味も加わり、お豆の力も相まって良縁を結ぶお店となっています。
▲ 寡黙に鍋を振るう姿が凛々しい朱さんは、お話するととても優しいパパさん
とても優しい台湾家庭の味。相思豆ならではのメニューも!
中華料理とはひと味違った、台湾家庭料理を味わえる「相思豆」。常連さん曰く鎌倉ではここでしか食べれないという「麺線(ミェンシェン)」や、お酒にぴったりな料理も。
筆者のイチ押しは「卵焼き」。湯気が立つ焼きたての卵焼きを口に入れると、柔らかな卵焼きの中に入った干し大根の食感と旨味があふれ出します。これぞ家庭の味! あたたかな家庭料理はお腹だけでなく、心も満たしてくれますよ。
▲ 豆板醤を入れるのもオススメな「麺線(ミェンシェン)」
▲ 台湾の干し大根が入った「卵焼き」は絶品
アスリート、アーティストも集まるお店。気付けば、みんなが笑顔になっている。
さて、色々な人が訪れる「相思豆」。なんとこの日は、2013年の世界体操競技選手権であん馬金メダリストに輝き、先日日本代表入りが決まった亀山耕平選手がいらっしゃいました。
亀山選手と「相思豆」の関係は、お店のメニューにも表れています。というのも、お好みに合わせて辛さが選べる麻婆豆腐の中で一番辛い「亀麻婆」は、亀山選手がいつも頼んでいた料理だったため生まれたメニューなのです。全国で活躍する亀山選手ですが、近くに来た時はこの「亀麻婆」をよくオーダーするんだとか。
▲ お好みで辛さが選べる麻婆豆腐。一番辛い「亀麻婆」の名は亀山選手がモチーフに
▲ 体操世界大会の金メダリスト・亀山耕平選手(写真右)の姿も!
亀山選手の他にも、鎌倉を中心に多くの人々から愛されるアーティスト「小川コータ&とまそん」がライブを開いたり、ケイコさん趣味のウクレレから広がって、気付けばお客さんが楽器を手にとり演奏している日があったり……と、「相思豆」は自然とお客さん同士も仲良くなってしまう雰囲気で包まれています。
仕事帰りに、あるいはちょっと遠い実家が恋しくなったときに「相思豆」へふらっと訪れてみてはいかがでしょうか? そこにはきっと心温まる素敵な出会いが待っているでしょう。
ライター情報
yuki
東京都出身。元公務員という不思議な経歴を持つ。2015年に湘南へ移住して以来人々の温かい助けを受け、ゲストハウススタッフ、バルホールスタッフ、シェアハウスマネージャーを歴任し、藤沢、鎌倉、逗子などを移り住む。この街の人々やお店、そして海を愛してやまない。愛する湘南の魅力を世界に発信していくのが今後の夢。
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