『君の名は。』のあのレストランには湘南・鎌倉のエッセンスが!? そのコンセプトと哲学に迫る。

2016年夏に公開され、ロングランヒットを記録し、ついにはハリウッドでも実写映画化が予定されている映画『君の名は。』ですが、主人公・瀧くんがアルバイトをしていたレストランを覚えている方も多いのではないでしょうか?

オシャレであたたかな雰囲気を醸し出すレストランのモデルとなったのは「カフェ ラ・ボエム 新宿御苑店」。実は、湘南・鎌倉にあるデザイン事務所「ATTA Co.,Ltd(以下 ATTA )」代表・戸井田晃英さんが設計を担当しているんです。そこで今回は、戸井田さんに「カフェ ラ・ボエム 新宿御苑店」のデザインコンセプトについて伺ってきました。

「設計の主役は設計士ではない」。「ATTA」が大切にする“3つの要素”とは?

「カフェ ラ・ボエム 新宿御苑店」をデザイン・設計した戸井田さんは鎌倉生まれ。幼少時代から鎌倉の海や自然に親しんできました。実家は工務店を営んでおり、その影響もあり将来は設計士になりたいと思うようになったといいます。

そんな戸井田さんが立ち上げたデザイン事務所「ATTA(アッタ)」は“人にあった、場所にあった、時代にあった”という理念に立っており、そしてその理念こそがデザイン事務所の名前の由来にもなっています。

「設計をするときの主役は、設計士ではなく、設計されたお店やそこに来たお客さんなんです」という戸井田さん。彼の設計には、3つの大事な要素が盛り込まれてるのだとか。

  • ▲ 鎌倉・大町のデザイン事務所「ATTA」代表取締役を務める戸井田晃英さん

まず1つ目は“サプライズ”。「吊り橋効果」を知っている方も多いと思いますが、一緒にドキドキするような経験をすると、それを恋のドキドキと錯覚してしまうもの。決して脅かさなくても、そこにある素敵な空間に驚いたり、感動すればそこにそにはその効果が生まれます。

2つ目の要素は“ロマンス”。ドキドキを経験した者同士が心を踊らせることでロマンスが生まれ、甘美な時間を過ごすことができます。

そして、最後の3つ目は“メモリアル”。素敵なロマンスのひとときは大切な思い出となり、またそのお店に行きたくなるきっかけになるだけでなく、そんな素敵な思い出の残るお店は色々な方に伝えたくなるのです。

事実、お客さんが居心地よく、楽しめるようにデザインされたお店はリピーターが多くなり、お店が出す料理やサービスも相まって、どの店も数多くの人々に愛される店舗となっています。

時代に逆行した「シック・モダン・エレガント」。

さて、皆様気になっていたであろう「カフェ ラ・ボエム 新宿御苑店」。今でこそロハスなどの考え方も一般的になり、自然との共存を考えたデザインやコンセプトが受け入れられる時代となりましたが、このレストランが完成した2000年代初頭はゴージャスでバブリーな建物が数多く生まれていた時期。“ヒルズ族”が続々誕生した「六本木ヒルズ」もこの頃に出来上がりました。

そんな中で設計されたこのレストランのコンセプトは、「シック・モダン・エレガント」。当時の流行とは異なった独自のコンセプトだったのです。そのため、コンセプトを伝えてもイメージの共有がなかなかうまく行かずに苦労した……と戸井田さんは振り返ります。

そこで、戸井田さんにはある物語が浮かんだそうです。”昔々あるところに植物が好きな伯爵がいました。伯爵は植物を愛するあまり、自分のお城の中に植物を愛でることのできる温室を作ってしまいました…。

実際に足を運ぶと、お店の目の前には緑に囲まれた新宿御苑、お店の中にも本物の木が植わり物語の息づ気を感じることができます。ちなみに、戸井田さんがデザイン設計する建築には自然が取り入られることが多くありますが、そのインスピレーションの源は故郷・鎌倉の雄大な自然なのだといいます。

また、高い天井には世界の大陸をモチーフとした7つのシャンデリアが。誕生日などの“サプライズ”ができるよう、主役の人の真上だけ光を灯したり、あるいは別々に点灯できるようになっているのだとか。広々とした空間には“ドキドキ”も隠されているんですね。

「ATTA」が届けるサプライズ、ロマンス、メモリアルに出会えるお店は鎌倉だけではなく、日本各地、さらには世界に感動を届けていくことでしょう。

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